TIAの特徴
マヒや構音障害など脳梗塞の症状が数分~30分程度(5分以内が多い)だけ出現し改善するが(TIA)、脳梗塞の前兆であることが多い。
TIAから脳梗塞になる半数は発症後24~48時間以内であり、 TIAが疑われる場合は至急検査、予防治療が必要。
TIAの検査
TIAが疑われる場合は、頭部MRIを行うこと。
→梗塞巣がない:
頸動脈や脳動脈の評価(エコー/MRA)、不整脈(モニター)、心臓内血栓(エコー)
糖尿病や脂質異常症などの有無を検査
→梗塞巣あり:
TIA後の脳梗塞発症予測(ABCD2スコア)
ABCD2スコアが有用。
3点以上で入院が勧められている。
ABCD2スコア | ||
A(age) 年齢 | 60歳以上 | 1点 |
B(blood pressure)血圧 | 収縮期140mmHg以上 かつ・または 拡張期90mmHg以上 | 1点 |
C(clilnical features)症状 | 片側脱力 | 2点 |
脱力を伴わない発語障害 | 1点 | |
その他 | 0点 | |
D(duration)持続時間 | 60分以上 | 2点 |
10〜59分 | 1点 | |
10分未満 | 0点 | |
D(diabetes)糖尿病 | 糖尿病あり | 1点 |
合計点と 発症後2日以内の脳梗塞発症リスク | 0〜3点 | 1.0% |
4〜5点 | 4.1% | |
6〜7点 | 8.1% |
TIAの分類と治療
脳梗塞と同様、心原性、アテローム性、ラクナにわかれる。
①いずれでも
脂質異常症や糖尿病、高血圧など基礎疾患があれば治療を開始する。
②心原性
非弁膜症性心房細動(リウマチ性心臓病、拡張型心筋症、機械弁ではない患者)
DOACをすぐに開始。腎機能等で用量調整を。
例)エリキュース5mg 2T2×朝夕食後
上記以外の患者には、ワーファリン PTーINR2~3(70歳以上は1.6~2.6)を目標に開始しつつ、目標値になるまではヘパリンを併用。
例)ヘパリン1万単位/日
③非心原性
抗血小板薬を開始。
例)以下を約1ヶ月併用。
・アスピリン100mg1~2T1×
・クロピドグレル(プラビックス®︎)75mg 1T1×
その後、いずれかのみ1日1錠ずつ内服して継続。
頸動脈内頸動脈剥離術やステント留置などの適応も検討する。