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脳神経

細菌性髄膜炎|症状・診断・治療

概要

細菌性髄膜炎は、細菌が髄膜およびくも膜下腔に感染し、急性の炎症を引き起こす疾患である。発症は急激であり、適切な治療が遅れると致死的な転帰をたどる可能性がある。髄液検査による迅速な診断と、経験的抗菌薬治療の即時開始が重要である。

疫学

  • 年間発症頻度:日本では約1,500例
  • 発症率の変化:ワクチン導入により、インフルエンザ菌b型や肺炎球菌による髄膜炎は減少したが、非ワクチン血清型の菌や耐性菌の増加が問題視されている
  • 感染経路:血行性(菌血症からの播種)または近傍感染(副鼻腔炎や中耳炎からの波及)

主な起炎菌

  • 新生児・乳児:B群溶血性レンサ球菌、大腸菌、リステリア菌
  • 小児・若年成人:肺炎球菌、髄膜炎菌
  • 成人・高齢者:肺炎球菌、リステリア菌
  • 免疫不全者:緑膿菌、グラム陰性菌、結核菌

リスク因子

  • 免疫不全(HIV、糖尿病、免疫抑制薬使用)
  • 近傍感染(副鼻腔炎、中耳炎)
  • 頭部外傷・手術歴

身体所見・症状

  • 発熱、頭痛、意識障害、項部硬直を認める
  • 典型的な三徴(発熱、項部硬直、意識障害)が揃うのは約半数
  • 髄膜刺激徴候(Kernig徴候、Brudzinski徴候)
  • 進行例ではけいれん、巣症状(片麻痺、失語)、ショック症状が出現
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検査・診断

細菌性髄膜炎は急性発症の発熱、頭痛、髄膜刺激症状を認めた場合に疑う。診断は以下の検査によって確定される。

髄液検査

  • 初圧の上昇
  • 多形核球優位の細胞増多
  • 髄液糖の低下(血糖比≦0.4)
  • 髄液蛋白の増加
  • 髄液グラム染色・培養での細菌の確認

血液検査

  • 白血球増加、CRP上昇
  • 血液培養で起炎菌が検出されることがある

画像検査

  • 頭部CT/MRIで脳浮腫、脳梗塞、膿瘍の有無を確認

合併症

  • 水頭症
  • 脳浮腫・脳梗塞
  • けいれん発作
  • 難聴(特に肺炎球菌)
  • 敗血症性ショック
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治療法

細菌性髄膜炎では、発症から1時間以内に経験的抗菌薬治療を開始する。起炎菌が特定された後は、適切な抗菌薬に変更する。

経験的抗菌薬治療

免疫正常な成人(16~50歳)

  • メロペネム(メロペン®)2g 8時間ごと 静注
    または
  • セフトリアキソン(ロセフィン®)2g 12時間ごと 静注
  • バンコマイシン(バンコマイシン®)500~750mg 6時間ごと 静注

50歳以上・免疫低下者

  • アンピシリン(ビクシリン®)2g 4時間ごと 静注(リステリアを考慮)
  • セフトリアキソン(ロセフィン®)2g 12時間ごと 静注
  • バンコマイシン(バンコマイシン®)500~750mg 6時間ごと 静注

副腎皮質ステロイドの併用

  • デキサメタゾン(デカドロン®)0.15mg/kg 6時間ごと 静注(4日間継続)

支持療法

  • 水分・電解質管理
  • 頭蓋内圧亢進対策(マンニトール、脳室ドレナージ)
  • けいれん発作予防(フェニトインなど)

予後

  • 適切な治療が遅れると死亡率が15~35%、後遺症率が10~30%
  • 早期治療により予後が改善するため、迅速な対応が必須

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