脳神経

パーキンソニズム・パーキンソン症候群|症状・検査/診断・治療

パーキンソン症候群(パーキンソニズム)とは

パーキンソニズムはパーキンソン病の運動徴候(振戦、強剛、無動、姿勢反射障害)を示す。

パーキンソン病以外にもパーキンソニズムをきたす疾患があり鑑別を要する。

パーキンソン症候群の鑑別疾患


特徴
パーキンソン病左右差のある安静時振戦から始まり、パーキンソニズムを来たす。L-dopaが著効する。詳細はパーキンソン病へ。
薬剤性60%が原因薬剤服用開始から1ヶ月以内、90%が3ヶ月以内に発症し、数日から数週で進行する。固縮が多く、振戦は少なく、左右差も少ない。代表的な原因薬剤は以下に記載。
進行性核上性麻痺歩行障害つよく早期から転倒を繰り返す。垂直眼球運動障害、強い固縮。安静時振戦はまれ。頸部MRIで中脳背側の萎縮。初期にL-dopaが効くこともあるが長期には効かない。発症2,3年で車椅子、4、5年で臥床。
多系統萎縮症オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群の3疾患の総称。脳幹と小脳が萎縮し、病型によって初めは小脳症候・パーキンソニズム・自律神経障害のいずれかがめだち、進行に伴いいずれもそろう。安静時振戦は少ない。パーキンソニズムにはL-dopaが多少有効。経過の中央値は発症後約5年で車椅子、約8年で臥床状態。
皮質基底核変性症大脳皮質と基底核が変性し、大脳皮質(感覚障害、四肢運動失効、失語、半側性空間無視、人格障害)と基底核(パーキンソニズム・錐体外路徴候)症状を呈する。パーキンソニズムは左右差を認めやすい。進行するとMRIで左右差のある大脳の萎縮を認める。パーキンソニズムにはL-dopaが多少有効。発症から臥床まで5~10年。
脳血管性パーキンソニズム血管障害により基底核が障害を受けパーキンソニズムを呈する。左右差は少なく、安静時振戦も少ない。MRIでは多発性脳梗塞を認めやすい。L-dopaは効きにくい。
正常圧水頭症歩行障害,認知機能障害、尿失禁が3徴で、歩行障害(小刻み歩行、開脚歩行)が必発。MRIで脳室の拡大、タップテスト(腰椎穿刺し髄液排液)で症状の改善を認める。治療はシャント術で症状の改善を認める。
レビー小体型認知症パーキンソニズムを伴う認知症。幻覚(特に幻視)が多い。パーキンソン病と同じでレビー小体が貯まるが、大脳まで広がり認知症を呈す。

薬剤性パーキンソニズムの原因薬

ドパミン受容体遮断作用を有する薬は特にパーキンソニズムを起こしやすい(一部消化器系薬、抗精神病薬)。

他にも、ドパミン受容体遮断効果はないがパーキンソニズムの報告がされている薬もあり、表に掲載しておく。

一般名商品名
消化器系メトクロプロミドプリンペラン
ドンペリドンナウゼリン
スルピリドドグマチール
抗精神病薬全般的に原因となりうる
降圧薬(CCB)アムロジピンアムロジン
二フェジピンアダラート
ジルチアゼムヘルベッサー
ベラパミルワソラン
抗不整脈薬アミオダロンアンカロン
アプリンジンアスペノン
消化器系薬ファモチジンガスター
抗うつ薬SSRI
抗認知症薬ドネペジルアリセプト
抗真菌薬アムホテシリンBファンギゾン
免疫抑制薬シクロホスファミドエンドキサン
シクロスポリンサンディミュン
気分安定薬リチウムリーマス
抗てんかん薬バルプロ酸ナトリウムデパケン
抗酒薬ジスルフィラムノックビン

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