脳神経

パーキンソン病|症状・検査/診断・治療

パーキンソン病の症状

①緩徐で粗大な安静時振戦
②強剛
③固縮(歯車様、鉛管様)
④無動(仮面用顔貌、すくみ足、動作緩慢、小声)
⑤姿勢反射障害
⑥認知症(約1/3に)
⑦睡眠障害(レム睡眠行動異常症、不眠症)
⑧自律神経障害(便秘、起立性低血圧、脂漏性皮膚炎)
⑨ほか(嗅覚障害)

緩徐で粗大な安静時振戦や強剛に左右差があるとパーキンソン病が疑わしい。

初発症状は片側優位の振戦が60%。

パーキンソン病の検査

頭部MRI:
パーキンソン病で特記所見はない。他疾患を除外するために検査する。

MIBG心筋シンチ:
心臓の取り込み低下(自律神経機能低下による)

DATSCAN:
左右差のある大脳基底核の機能低下

パーキンソン病の診断

以下全てを満たすものは確定。
①②③は満たすが④未検討のものは疑い症例。

 ①パーキンソニズムがある(※1)
 ②脳CT/MRIで他の原因が示唆されない(※2)
 ③パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への暴露がない
 ④抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる(※3)

※1)パーキンソニズムの定義は以下のいずれかに該当するもの。
 1.典型的な左右差のある安静時振戦がある
 2.歯車様強剛、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ異常が存在する。

※2)多発脳梗塞、被殻萎縮、脳幹萎縮、著明な脳室拡大、著明な大脳萎縮など。

※3)ドパミン受容体刺激薬またはL-dopa製剤で判定。

パーキンソン病の重症度分類(ホーン・ヤール分類)

Hoehn-Yahr(ホーン・ヤール)分類日常生活機能障害度分類
1度症状は片側で軽度1度
日常生活、通院にほとんど介助を要しない
2度症状が両側性
3度姿勢反射障害あり2度
日常生活、通院に介助を要する
4度高度障害を示すが、歩行は介助なしに可能
5度高度障害を示し、車椅子か臥床での生活3度
日常に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能

パーキンソン病の予後

パーキンソン病は進行性。
主症状が振戦の場合進行は遅く、動作緩慢の場合速いと言われているが患者による。

治療で10年程度は動きを維持できるが、その後介護が必要になるが、平均余命は一般より2~3年短い程度。直接死因は誤嚥性肺炎などが多い。

パーキンソン病の治療開始方法

①65歳以上や症状が重い(うときが悪い)など

→L-dopaで治療開始

例)レボドパ・カルビドパ水和物(メネシット®︎)100mg1回1錠、1日1~3回で開始。

毎日か隔日で1日量を100mgずつ増量。標準維持量は1回200~250mg、1日3回。最大1日1,500mg。

②それ以外

 65歳未満では運動合併症(ウェアリングオフやジスキネジア)が出やすく、L-dopa使用でさらに時きが早まるため、ドパミンアゴニストやMAOB阻害薬で治療開始。

例)ドパミンアゴニスト
プラミペキソール塩酸塩水和物(ビ・シフロール®︎)0.25mg
1日量0.25mgではじめ、2週目に0.5mgとし、1週間毎に0.5mgずつ増量。標準1日維持量1.5~4.5mg(1日量1.5mg未満→2×朝夕食後、1.5mg以上→3×毎食後)。

コンサルトするタイミング

・診断に自信がないとき

・治療開始方法に悩むとき

・治療効果不十分のとき

・運動合併症(ウェアリングオフ、ジスキネジア)でコントロール困難なとき

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