総合診療

高カリウム血症|症状・検査・診断・治療(医療者向け)

高カリウム血症の症状・心電図

症状:軽度であれば無症状がほとんど。高度になってくると脱力、嘔気、動悸、失神などが出現。

心電図:
テント状T波、QT短縮、P波減高。致死的不整脈。

高カリウム血症の心電図
高カリウム血症の心電図
看護roo!「電解質異常の心電図」より画像引用

高カリウム血症の原因〜鑑別フローチャート〜

高カリウム血症の原因鑑別フローチャート
高カリウム血症の原因〜鑑別フローチャート〜

※以前は鑑別にTTKGを使用されていたが、TTKG自体の前提条件が否定されており、作成者自ら使用しないように推奨している。

高カリウム血症の治療

緊急度によって治療法がかわる。

心電図変化、不整脈などあり

①グルコン酸カルシウム

心保護のため、グルコン酸カルシウムを静注。

例)グルコン酸カルシウム(カルチコール®︎)8.5%10mLを2~3分かけて静注。

※心電図の改善がなければ10~20分ごとに2~3回くりかえし。

※ジギタリス使用中の患者では、カルチコール10mL+生食100mLを30分以上かけて投与。

②GI療法

グルコースとインスリンを投与することでKを細胞内へシフトさせる。

以下のいずれかの方法で行う。

血糖測定を細かく行い、低血糖に注意。

例)速効型インスリン5(~10)単位+50%ブドウ糖50mL 緩徐に静注

例)速効型インスリン10単位+10%ブドウ糖500mL 1時間かけて点滴

③フロセミド

Kを尿とともに体外へ排出。

循環動態によっては生食に混注して点滴投与してもよい。

例)フロセミド(ラシックス®︎)20mg 静注④炭酸水素ナトリウム

アシドーシスを認める場合に投与でKを細胞内へシフト。

例)炭酸水素ナトリウム(メイロン®︎)40mL 静注

①~④を行いつつ、緊急でない場合の治療も行う。

緊急でない場合の治療

⑤薬剤の中止

ARB/ACE阻害薬やスピロノラクトンなど高Kの原因になる薬剤を中止する。

野菜や果物、野菜ジュースなどK含有量の多いものを減らすよう食事指導する。

⑥陽イオン交換樹脂

Kを腸管内で吸着することで体外へ排出。

腎不全の高カリウム血症に適応。

例)ポリスチレンスルホン酸Na(ケイキサレート®︎)10g(水50~150mLに懸濁)を1日2~3回

急ぐときは注腸30g(水100mLに懸濁)でもよい。

便秘など消化管症状やMg・Caへの影響に注意。

⑦ジルコニウム

陽イオン交換樹脂と同様の薬効だが、他電解質への影響や消化器症状が少ない。

⑥にはジェネリックがあるがジルコニウムはない。

高カリウムに適応、なので腎不全以外にも使用できる。

例)ジルコニウム(ロケルマ®︎)10gを水45mLに懸濁し1日3回を2~3日、その後5g1回にし、調整。

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