保存期CKDの目標Hb
11~13g/dLを目標とする。
これ以上の高Hb値だと心血管疾患や脳卒中のリスクが増える。
重篤な心血管疾患の既往や合併がある患者などでは12g/dLを超えないようにする。
腎性貧血の治療薬
①鉄剤
CKDの患者では鉄欠乏状態のことが多い。
フェリチン<100μg/LやTSAT<20%が鉄欠乏の目安である。
※TSAT(トランスフェリン飽和度)=血清鉄(μg/dL)/TIBC(μg/dL)×100
鉄剤の投与は内服を基本とする。
便が緑黒色になることを説明しておく。また、便秘になることもある。
鉄剤の内服薬には胃酸が必要なため、制酸薬が必要な場合は内服するタイミングをズラすなどすること。
例)クエン酸第一鉄Na(フェロミア®︎):50mg1T 1×夕食後
鉄剤は嘔気など消化器症状が出やすいため50mgから始め、必要があれば増量する。
50mgでも飲めない場合は、
例)インクレミンシロップ®︎:4mL2×朝夕食後
4mLに24mgの鉄を含有。小児用なので飲みやすい。必要あれば徐々に増量する。
それでも飲めない場合や、消化管疾患などで投与しにくい場合などは注射。
例)フェジン40~120mg+10~20%ブドウ糖20mL を2分以上かけて緩徐に注射
最後の手段はサプリメント。これなら飲める、というのがある人もいる。
②エリスロポエチン製剤
治療薬は従来のエリスロポエチン製剤注射剤に加えてHIFーPF阻害薬がある。HIFーPF阻害薬は経口薬で投与しやすい。価格は投与量によるがほぼ同等。
保存期CKDでの投与開始量は以下。
エリスロポエチン製剤例)ネスプ30μg 2週に1回 皮下注or静注
HIFーPF阻害薬例)ロキサデュスタット(エベレンゾ®︎)50mg1T1× 週3回