総合診療

意識障害の原因・鑑別疾患・検査

意識障害の鑑別疾患

意識障害の鑑別疾患は多岐にわたり覚えるのが大変なので、AIUEOTIPS(あいうえおチップス)で鑑別疾患を挙げる(重要度や頻度順に並んでいるわけではない)。

AAlcohol(アルコール)急性アルコール中毒 Wernicke脳症(ビタミンB1欠乏) アルコール離脱せん妄
IInsulin(血糖)低血糖 糖尿病性ケトアシドーシス 高血糖高浸透圧症候群
UUremia(尿素)尿毒症
EEncephalopathy(脳症)肝性脳症 高血圧性脳症

Endocrinapathy(内分泌)甲状腺クリーぜ 甲状腺機能低下症 副甲状腺クリーぜ 副腎不全 下垂体機能不全

Electrolytes(電解質)低/高Na・高Ca・高Mg血症など
OO2(酸素)低酸素血症 CO2ナルコーシス 一酸化炭素中毒

Overdose(薬物過量服薬)薬物過量服薬

Opiate(麻薬)麻薬中毒
TTrauma(外傷)脳挫傷・急性硬膜下血腫・びまん性脳挫傷など 慢性硬膜下血腫

Tumor(腫瘍)脳腫瘍

Temperature(体温)低体温 高体温(熱中症、悪性症候群)
IInfection(感染)髄膜炎、脳炎、敗血症
PPsychogenic(精神疾患)統合失調 解離性障害
SSeizure(痙攣)てんかん、痙攣発作後

Stroke(脳卒中)脳梗塞 脳出血 クモ膜下出血

Shock(ショック)ショック

意識障害の評価方法

JCSとGCSを用いて評価する。経時的にチェックし記録する。

JCS(Japan Coma Scale)

I. 刺激しないでも覚醒している状態
 0. 意識清明
 1. 見当識は保たれているが意識清明ではない
 2. 見当識障害がある
 3. 自分の名前・生年月日が言えない

II. 刺激すると覚醒する状態
 10. 普通の呼びかけで容易に開眼する
 20. 大きな声または身体を揺さぶることにより開眼する
 30. 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する

III. 刺激をしても覚醒しない状態
 100. 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
 200. 痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる
 300. 痛み刺激に全く反応しない

付帯所見."R":不穏、"I":糞尿失禁、"A":自発性喪失

表記例:30ーRや3ーIなど

GCS(Glasgow Coma Scale)

E:開眼 (eyeopening)
 4.自発的に開眼
 3.言葉により開眼
 2.痛み刺激により開眼
 1.開眼しない

V:言語音声機能(verbalresponse)
 5.見当識あり
 4.混乱した会話
 3.不適当な単語
 2.無意味な発声
 1.発声が見られない

M:運動反応 (motorresponse)
 6.指示に従う
 5.痛み刺激部位に手足を持ってくる
 4.痛みに手足を引っ込める(逃避屈曲)
 3.上肢を異常屈曲させる(除皮質肢位)異常な四肢屈曲反応
 2.四肢を異常進展させる(除脳肢位)
 1.まったく動かさない

表記例:E3 V3 M4=10

意識障害の対応

①意識障害の評価以外にも、気道・呼吸・循環系の評価を行う。

②目撃者がいれば発症時の状況・経過や既往歴、内服薬などを確認する。

③身体診察(胸腹部所見、瞳孔、神経所見、項部硬直、外傷所見など)

④簡易血糖測定を行い低血糖があればブドウ糖投与を行い、意識レベルの変化をみる。

例)20%ブドウ糖40mL 静注

⑤血液検査(血算、生化学一般、CRP、アンモニア、ビタミンB1、血液ガスなど)

⑥上記までのアプローチで疑わしいところがあれば積極的に検査する。

⑦頭部CT/MRIを行う。

⑧原因がはっきりしなければトライエージで薬物中毒をチェックする。

※トライエージで判別できる薬物

1.フェンシクリジン(PCP)
2.コカイン系麻薬(COC)
3.覚醒剤(AMP)
4.大麻(THC)
5.モルヒネ系麻薬(OPI)
6.バルビツール酸類(BAR)
7.ベンゾジアゼピン系(BZO)
8.三環系抗うつ薬(TCA)

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