胸痛をきたす疾患
心臓 | |
狭心症 | 数分間持続。労作時に多い。冠攣縮性は夜間安静時に。心電図でST低下。ニトロで速やかに改善。 |
心筋梗塞 | 狭心症より強く、持続する。ニトロも効果弱い。心電図でST上昇。トロポニン陽性。 |
大動脈弁狭窄症 | 心エコーで確認。 |
心膜炎 | 吸気時に痛み、聴診で胸膜摩擦音。心電図で広範なST上昇を認め、心エコーで心嚢液貯留など。 |
不整脈 | 動悸などの症状とともに胸痛をうったえることも。心電図やホルター心電図で診断。 |
肺・縦隔 | |
気胸 | 患側は聴診でエア入り不良。皮下気腫を伴うことも。胸部Xpで患側肺が虚脱し透過性亢進。血胸の合併に注意。縦隔偏移があれば緊張性気胸疑い。 |
胸膜炎 | 発熱、咳なども。胸部Xpで胸水。 |
縦隔炎 | 発熱も。胸部CT以外ではみつけにくい。 |
肺血栓塞栓症 | 臥床など病歴が重要。WellsスコアやDダイマーを用いて診断。 |
大血管 | |
急性大動脈解離 | 突然の胸背部痛。解離の拡大で範囲も拡大。血圧の左右差などあれば造影CT評価。 |
消化器 | |
逆流性食道炎 | 胸やけによる痛みで、膨満感なども。食事とも関連。制酸薬が有効。胃カメラで診断する。 |
胃・十二指腸潰瘍 | 心窩部痛を胸痛ということがある。心窩部の圧痛。エコーなどで壁肥厚。胃カメラで診断。 |
胆石発作・胆嚢炎 | 右季肋部痛を胸痛というこも。右季肋部の圧痛やMurphy徴候。エコー、CTで所見。 |
膵炎 | 心窩部痛を胸痛ということも。心窩部の圧痛。エコーやCTで所見。リパーゼやアミラーゼの上昇。 |
食道痙攣 | 飲食によって誘発。前屈ででやすいが検査で特徴的所見なし。 |
筋・骨・神経・その他 | |
肋間神経痛 | チクチク、ビリビリする痛み。1本であれば片側性。 |
筋肉痛・筋炎 | 体動で痛み増悪。圧痛あり。 |
帯状疱疹 | 片側性で神経支配領域に一致。痛み出現数日以内に皮疹が同部に出現。 |
不安神経症・心因性 | 非特異的な症状で、検査でも特記所見なし。傾聴が重要。抑うつにも注意。 |
胸痛の対応
心筋梗塞、肺血栓塞栓症、大動脈解離、緊張性気胸などを速やかに除外することが重要。
バイタルサインを含めた全身状態を評価し、胸部聴診、心電図、胸部Xpを行う。
病歴等からさらに追加する検査を考慮する。