CKD(慢性腎臓病)の定義
CKDの定義は、以下2つのいずれか、または両方が3ヶ月以上持続するものをいう。
- 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/vCr異常のアルブミン尿)の存在が重要
- GFR<60mL/分/1.73m2
CKD(慢性腎臓病)のステージ分類
CKDの検査フォロー間隔
ステージごとの検査間隔と最低限必要な内容を記す。
<ステージG1~2>
3~6ヶ月ごとに尿蛋白定性、尿蛋白定量、Cr、eGFR
<ステージG3~4>
1~3ヶ月ごとに尿蛋白定性、尿蛋白定量、Cr、eGFR、BUN,Alb,UA,Na,K,Cl,Ca,P,Hb,胸写
<糖尿病患者>
上記に加えて、1~3ヶ月ごとに空腹時決闘、HbA1c、適宜胸写・心電図
※推定1日尿蛋白量≒随時蛋白尿(g/dl)÷随時尿クレアチニン(g/dl))
1日で出る尿中クレアチニンを1gと仮定した計算方法。アスリートではもっと尿中クレアチニンでるので、計算よりも実際の尿蛋白量は多く(過小評価)、筋肉量が少ない高齢者などでは計算よりも少ない(過大評価)。
1/Cr(クレアチニン分の1)グラフ
腎機能をみる上でGFRが大切だが、クレアチニンの値とGFRは逆数の関係(クレアチニンが2倍になるとGFRは1/2)になるので、1/Crのグラフを書くと今後が予測できる。
高血圧と蛋白尿
血圧の管理目標は以下。
糖尿病や蛋白尿あり:
診察室血圧130/80mmHg(家庭血圧125/75)
高齢者や、糖尿病・蛋白尿なし:
診察室血圧140/90mmHg(家庭血圧135/85)
蛋白尿がある場合、腎不全悪化を抑制するために尿蛋白量0.3g/日以下をめざす必要があるため、
- 血圧を下げる(特にARBなど RA系阻害薬)
- 蛋白制限
をおこなうことが重要。
蛋白尿についてはこちらを参照
CKDでの水分摂取量
推奨水分摂取量はステージにより異なる。
ステージG1・2:
尿量が多いほどeGFRの低下量が少ない。
ステージG3~:
浮腫があるときなどは、飲水量を増やすと腎機能を悪化させる可能性あり、塩分制限と口渇に合わせた飲水を基本とする。
→早期はいっぱい水分とったほうがいいけど、進行したら口渇に合わせての飲水とし浮腫や胸水に注意する。
塩分制限
減塩の効果:高血圧改善、浮腫や心不全予防、腎機能悪化抑制。
CKDステージG1・2:
高血圧があれば6g/日未満
CKDステージG3~ :
6g/日未満
蛋白制限
CKDでは蛋白制限、低タンパク食(LPD:low protein diet)が推奨。
蛋白制限の効果:
糸球体障害抑制、糸球体内圧低下に伴う蛋白尿の減少、尿毒素の抑制など。
サルコペニアにも注意が必要なので、量を減らして質を上げる。
植物性より動物性のタンパク質が必須アミノ酸が多くりアミノ酸スコアが高い。また、蛋白を減らしたぶん、カロリーを脂質や糖質(DMがなければ)を増やしてとることも必要。
CKDに対する利尿剤
ループ利尿薬を代表する利尿剤は腎機能を悪化させやすいので注意が必要。
しかし、減塩指導にもかかわらず血圧が高く、浮腫が残存する場合は利尿薬を投与する。
CKDステージG1~3(eGFR≦30):
サイアザイド系利尿薬。
CKDステージG4~5:
長時間ループ利尿薬。
腎性貧血
CKDは腎性貧血を合併する。腎性貧血を参照。
Hb11~13g/dLを目標として治療を行うが、重篤な心血管疾患を有する場合は12g/dLをこえる場合に減量・休薬を考慮する。
治療薬は従来のエリスロポエチン製剤注射剤に加えてHIFーPF阻害薬がある。HIFーPF阻害薬は経口薬で投与しやすい。価格は投与量によるがほぼ同等。
保存期CKDでの投与開始量は以下。
エリスロポエチン製剤例)ネスプ30μg 2週に1回 皮下注or静注
HIFーPF阻害薬例)ロキサデュスタット(エベレンゾ®︎)50mg1T1× 週3回
CKDによる代謝性アシドーシス
HCO3ーは静脈血ガスでも動脈血とほぼ同じなので静脈血ガスで代用できる。
eGFR<20~25になるとHCO3ーの低下を認めることが多い。初めはAG正常。eGFR<10~15になるとAG上昇型。
慢性のアシデミアは炎症、筋肉量低下、低栄養、骨粗鬆症、代謝性アシドーシスはカリウム上昇をおこす。アシドーシスの改善はCKD進行抑制にも働く。
例)炭酸水素ナトリウム1回0.5g、1日2−3回(食後)
HCO3ー22~26mEq/Lを目標に0.5g/回ずつ増量。