白癬
白癬菌は真菌。
俗称:
足「水虫」、陰部「いんきんたむし」、体部「ぜにたむし」、頭部「しらくも」。
皮膚所見:
湿疹に類似して紅斑を認める。
湿疹の治療で改善しない場合は白癬を疑うべきだし、白癬の治療で改善しない場合は湿疹を疑う。
白癬の診断
KOH直接鏡検が必要。
①病巣部の一部をメスやハサミなどで採取
②プレパラートにのせKOHを数滴垂らす
③60~70℃で2~3分加熱
④観察し、菌糸・胞子がみられれば白癬の診断
※ 爪白癬の場合の病変採取の仕方は以下がわかりやすい。
https://luconac.com/material/movie/index.html
(佐藤製薬 ルコナック®︎ 「爪白癬の検査方法を動画でご紹介」)
足白癬の分類
趾間型:足の指の間に鱗屑や浸軟
小水疱型:土踏まずに鱗屑や小水疱
角化型:足底がびまん性に角化
足白癬の治療
1)角化型以外
外用薬で治療。
直接鏡検や培養で白癬菌を確認して使用を。
抗真菌薬はそれ自体が刺激性なので、すでにびらんや亀裂などが生じている場合は、ステロイド軟膏などで先に治療を行い、改善後に抗真菌薬の外用を始めた方が良い。
二次感染で蜂窩織炎など起きている時も、先に抗菌薬治療を行って改善後に抗真菌薬を開始。
系統 | 一般名 | 商品名 | 剤形 | カンジダにも有効 |
---|---|---|---|---|
イミダゾール系 | ルリコナゾール | ルリコン | クリーム・液・軟膏 | ○ |
ラノコナゾール | アスタット | クリーム・液・軟膏 | ○ | |
モルホリン系 | アモロルフィン | ペキロン | クリーム | ○ |
アリルアミン系 | テルビナフィン | ラミシール | クリーム・液・スプレー | ○ |
チオカルバミン酸系 | リラナフタート | ゼフナート | クリーム・液 | × |
ベンジルアミン系 | ブテナフィン | メンタックス ボレー | クリーム・液・スプレー | × |
※すべて1日1回でOK。
※刺激性の強さは、液>クリーム>軟膏。軟膏はべたつくが、刺激は弱くびらんや亀裂になりやすい場所に適している。
2)角化型や皮膚合併症で外用薬を使えない場合
難治性でありテルビナフィンやイトラコナゾールの経口抗真菌薬を用いる。
直接鏡検や培養で白癬菌を確認して使用を。
例)テルビナフィン(ラミシール®︎)125mg1T1×夕食後 1~3ヶ月間
※副作用は肝障害、白血球減少、無顆粒球症、血小板減少などがあり、最初の2ヶ月は毎月、それ以降も2ヶ月程度で血液検査を。
3)爪白癬を合併する場合
抗真菌薬の内服治療が第一選択(爪白癬の部参照)。
4)外用薬の塗布期間
趾間型:2ヶ月以上
小水疱型:3ヶ月以上
角化型:6ヶ月以上(外用薬で治療する場合)
爪白癬の治療
1)抗真菌薬内服
抗真菌薬内服が第一選択。直接鏡検や培養で爪白癬と確定診断された症例に使用を。
例)テルビナフィン(ラミシール®︎)125mg1T1×夕食後 6~12ヶ月間
※副作用は肝障害、白血球減少、無顆粒球症、血小板減少などがあり、最初の2ヶ月は毎月、それ以降も2ヶ月程度で血液検査を。
2)肝障害等で内服治療が困難な場合
内服薬よりも完治率は低下するが、ルリコナゾールやエフィナコナゾールを使用。
いずれも直接鏡検や培養で爪白癬と確定診断された症例に適応。
いずれも1日1回使用。
例)ルリコナゾール爪外用液5%(ルナコック®︎)
例)エフィナコナゾール爪外用液10%(クレナフィン®︎)
体部白癬・股部白癬の治療
外用薬治療が第一選択。
難治性などではテルビナフィン内服などを考慮する。