消化管

ピロリ菌・萎縮性胃炎|症状・検査/診断・治療

ピロリ菌除菌の適応

以下疾患で、ピロリ菌が検出された場合。

  1. 胃・十二指腸潰瘍
  2. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
  3. 胃MALTリンパ腫
  4. 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
  5. ピロリ菌感染胃炎

※5.はピロリ菌を認める慢性胃炎・萎縮性胃炎などの胃炎があればOK。

除菌前に必ず内視鏡検査を行うことが保険診療上必須!

(癌予防が除菌の目的なので、癌が現時点でないことを確認するため)

ピロリ菌の診断

ピロリ菌の検査方法は複数ある。

  1. 迅速ウレアーゼテスト
  2. 鏡検法
  3. 培養法
  4. 尿素呼気試験
  5. 抗ピロリ菌抗体測定
  6. 便中ピロリ抗原測定

 ①〜③は内視鏡検査が必要。胃の一部での検査のため感度は低いし、組織をとるため出血のリスクあり。

 ④〜⑥は感度・特異度ともに高い。

*PPIやP-CAB(タケキャブ)、抗菌薬を使用していると偽陰性になる(H2ブロッカーは大丈夫)。ただし、抗体測定はPPIなどの影響をうけない。また、便中抗原検査はキットによってはPPIの影響が少ないとされている。

*抗体測定以外では、PPIを少なくとも2週間以上休薬してから検査する(偽陰性の可能性を極力減らすため4週間以上を推奨)。

除菌判定

 除菌終了から4週間以上あけて(途中PPIなど内服なし)、尿素呼気か便中抗原でおこなう。

 抗体の陰性化は1年以上かかる。抗体で判定する際は除菌後半年以上あけて、元の抗体価の半分以下になった場合除菌成功と判断する。

ピロリ菌除菌薬

一次除菌

 例)ボノサップ400 2×朝夕食後 7日間

(タケキャブ20mg 2T2×、サワシリン250mg6Cp2×、クラリスロマイシン200mg2T2×)

 ※除菌率92.6%

二次除菌

 例)ボノピオン 2×朝夕食後 7日間

(タケキャブ20mg 2T2×、サワシリン250mg6Cp2×、フラジール250mg2T2×)

 ※フラジール(メトロニダゾール)があるため内服期間は禁酒が必要

 ※除菌率98%

除菌薬の副作用

 薬へのアレルギー、下痢・軟便、味覚異常、舌炎など。

 除菌後、ピロリ菌がいないことにより胃酸のpHが下がり逆流性食道炎が出現・悪化する可能性が一時的にある。

ピロリ菌との関連疾患 

以下疾患があるときは腹部症状がなくても胃カメラ・ピロリ菌検査を行おう。

H.pylori除菌が強く勧められる疾患

①ピロリ菌感染胃炎(≒萎縮性胃炎)

②胃潰瘍・十二指腸潰瘍

③早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃

④MALTリンパ腫

⑤胃過形成性ポリープ

⑥機能性ディスペプシア

⑦胃逆流性食道症

⑧免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)

⑨鉄欠乏性貧血

H.pylori感染との関連が推測されている疾患

①慢性蕁麻疹

②Cap polyposis

③胃びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)

④直腸MALTリンパ腫

⑤パーキンソン症候群

⑥アルツハイマー病

⑦糖尿病

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