胆管炎|症状・検査/診断・治療
最終更新日:
急性胆管炎の診断基準
TG18/TG13急性胆管炎診断基準(急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018)
A.全身の炎症所見(いずれかあり)
- A-1.発熱(悪寒戦慄を伴うこともある):体温>38℃
- A-2.血液検査で炎症反応上昇:WBC<4,000 または>10,000/μL、CRP≧1mg/dL
B.胆汁うっ滞所見(いずれかあり)
- B-1.黄疸:T-Bil≧2mg/dL
- B-2.肝機能検査異常:ALP、γ-GTP、AST、ALTが施設正常上限値の1.5倍超
C.胆管病変の画像所見(いずれかあり)
- C-1.胆管拡張
- C-2.胆管炎の成因:胆管狭窄・胆管結石・胆管ステントなど
確診:A+B+C
疑診:A+(BまたはC)
腹痛(右上腹部痛または上腹部痛)と胆道疾患の既往(胆嚢結石、胆道手術歴、胆道ステント留置など)も診断の参考になる所見とされる。
※Charcotの3徴 :発熱・右季肋部痛・黄疸
特異度は高い(多施設共同研究で95.9%)が、感度は低い(過去の報告で20~70%程度、近年の多施設共同研究では26.4%、21.2%)。そろえば急性胆管炎が強く示唆されるが、拾い上げには向かない。
※Reynoldsの5徴 :Charcot3徴+意識障害+ショック(敗血症を示唆)
重症胆管炎の徴候とされてきたが、5徴すべてがそろうことは極めてまれ(多くの報告で10%未満)。なお、Charcot 3徴の有無は重症度を反映しない。
急性胆管炎の重症度判定
胆管炎は治療が遅れると重症化しやすい。
一度重症度を判定しても悪化することもあるので繰り返し判定すること(TG18では、診断時、診断から24時間以内、24~48時間の各時間帯で繰り返し評価する)。
また、胆管炎に胆石性急性膵炎が併発していることもあり、血中膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ)を測定して急性膵炎の合併にも注意が必要である。
TG18/TG13急性胆管炎重症度判定基準
重症(Grade Ⅲ):以下のいずれかを認める
- 循環障害(ドパミン≧5μg/kg/min、もしくはノルアドレナリン使用)
- 中枢神経障害(意識障害)
- 呼吸機能障害(PaO2/FiO2比<300)
- 腎機能障害(乏尿、もしくはCr>2.0mg/dL)
- 肝機能障害(PT-INR>1.5)
- 血液凝固異常(血小板<10万/mm3)
中等症(Grade Ⅱ):初診時に以下5つのうち2つ以上該当する。もしくは、該当しなくても初期治療に反応しなかった場合。
- WBC>12,000 or <4,000/mm3
- 発熱(体温≧39℃)
- 年齢(75歳以上)
- 黄疸(T-Bil≧5mg/dL)
- Alb<健常値下限×0.73g/dL
軽症(Grade Ⅰ):重症・中等症に該当しないもの
急性胆管炎の治療
抗菌薬
いずれの重症度でも抗菌薬の早期開始が重要(敗血症性ショックでは1時間以内、それ以外でも4時間以内に開始し、胆管ドレナージより先に投与を始める)。
抗菌薬開始前に血液培養を考慮する。中等症・重症では血液培養は必須。胆管ドレナージの際には胆汁培養を行い、結果に応じて抗菌薬を変更(de-escalation)する。
施設のアンチバイオグラム、ESBL産生菌などの耐性菌、抗菌薬治療歴、腎機能・肝機能などを考慮して抗菌薬を選択する。胆汁移行性については明確なエビデンスはなく、胆管が閉塞している場合は胆汁移行性よりも組織移行性や原因菌の薬剤感受性を重視する。胆管空腸吻合の既往がある場合は嫌気性菌もカバーする。
セフトリアキソン(ロセフィン®︎)
1回2g×1日1回
軽症~中等症。TG18では市中発症Grade Ⅰ・Ⅱの選択肢の一つ(胆管空腸吻合後ではメトロニダゾールを併用)。添付文書の成人用量は1日1〜2gを1回または2回に分けて投与(難治性・重症では1日4gまで、2回に分けて)。ESBL産生菌の拡大により、腸内細菌が耐性を示すことが多い薬剤にも挙げられている
タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン®︎)
1回4.5g×1日3回
中等症~重症。TG18では市中発症Grade Ⅱ・Ⅲおよび医療関連感染の選択肢。添付文書の胆嚢炎・胆管炎の用法どおり。添付文書では胆管炎の投与期間は14日間が目安とされている(TG18は感染源コントロール後4〜7日を推奨)。腎機能障害では減量または投与間隔の延長が必要
ドリペネム(フィニバックス®︎)
1回0.5g×1日3回
重症。TG18では市中発症Grade Ⅲおよび医療関連感染の選択肢(カルバペネム系:イミペネム・シラスタチン、メロペネム、ドリペネム)。添付文書の通常量は1回0.25gを1日2〜3回で、1回0.5g×1日3回は重症・難治性感染症の用量。Ccrに応じて減量する
TG18では、市中発症の重症(Grade Ⅲ)では腸球菌を考慮して、培養結果が出るまでバンコマイシンの併用が推奨されている。
投与期間の目安(TG18):感染源がコントロールされた後(胆管ドレナージ成功後)4~7日間。腸球菌やレンサ球菌などのグラム陽性菌の菌血症では2週間以上。胆管の結石・閉塞が解除されていない場合は解除されるまで、肝膿瘍を合併した場合は膿瘍が消失するまで継続する。
胆管ドレナージ・成因除去
胆管ドレナージは内視鏡的経乳頭的胆管ドレナージ(EBS:内視鏡的胆管ステント留置術、ENBD:内視鏡的経鼻胆管ドレナージ)が第一選択で、EBSとENBDはどちらを用いてもよい。
EST(乳頭切開)や採石術は成因除去として行われる。
経乳頭的ドレナージが困難な場合(十二指腸狭窄、胆管挿管不成功など)は経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD/PTCD)や、熟練した胆膵超音波内視鏡医がいれば超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージ(EUS-BD)が行われる。胆管空腸吻合術などの術後再建腸管例では、熟練した内視鏡医がいればバルーン小腸内視鏡下の胆管ドレナージが推奨され、困難な場合はPTBDやEUS-BDを検討するか専門施設へ紹介する。外科的ドレナージが行われることは現在では極めてまれである。
軽症:
抗菌薬を含む初期治療で軽快することが多く、ほとんどは胆管ドレナージを必要としない。初期治療に24時間以内に反応しない場合は速やかに胆管ドレナージを行う。成因(結石など)が残存していれば胆管炎治療後に待機的にERCPで採石する(総胆管結石ではESTと採石を胆管ドレナージを兼ねて胆管炎経過中に行っても良い)。
中等症:
ERCPなどで胆管ドレナージを早期に行う(TG18の根拠となった日台共同研究では、中等症で入院24時間以内、または48時間以内にドレナージを行った群の30日死亡率が低かった)。総胆管結石ではESTと採石を同時に行なっても良い。それ以外の成因に対する治療は全身状態が改善してから行う。
重症:
臓器サポート(呼吸・循環管理)を行い、循環・呼吸状態をある程度改善させたのち、できるだけ早く緊急で胆管ドレナージを行う。結石が残存しているなど、成因に対して治療が必要な場合は全身状態が落ち着いてから待機的に行う。
中等症・重症で胆管ドレナージや集中治療ができない施設では、対応可能な施設への搬送を検討する。
参考文献
- 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会(編).TG18新基準掲載 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(第3版).医学図書出版, 2018(第Ⅳ章 図2・表3・表5、第Ⅴ章 診断基準・重症度判定基準・Q5・Q6・Q9・Q14・Q18、第Ⅶ章 Q51・表3・表4・Q52・表5、第Ⅷ章 Q54・Q55・Q57・Q59、第Ⅻ章 急性胆管炎診療バンドル).Mindsガイドラインライブラリ https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00467/
- ロセフィン静注用 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049429
- ゾシン静注用 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055816
- フィニバックス点滴静注用 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059816
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