肝・胆・膵

胆管炎|症状・検査/診断・治療

急性胆管炎の診断基準

A.全身の炎症所見んいずれかあり
 Aー1.発熱
 Aー2.血液検査で炎症反応上昇
B.胆汁鬱滞所見
 Bー1.横断
 B−2.肝機能検査異常
C.胆管病変の画像所見あり
 C−1.胆管拡張
 Cー2.胆管狭窄・胆管結石・胆管ステントなど

確信:A+B+C

疑信:A+BorC

※Charcotの3徴:発熱・右季肋部痛・黄疸

 特異度は90%超と高いが感度は50~70%と低い。

※Reynoldsの5徴:Charcot3徴+意識障害+ショック(敗血症を示唆)

急性胆管炎の重症度判定

胆管炎は治療が遅れると重症化しやすい。

一度重症度を判定しても悪化することもあるので繰り返し判定すること。

また、十二指腸乳頭に結石が嵌頓した場合は膵炎を合併することもあり、膵炎にも注意が必要である。

重症(Grade Ⅲ)
以下のいずれかを認める
・循環障害(ドパミン≧5μg/kg/min、もしくはノルアドレナリン使用)
・中枢神経障害(意識障害)
・呼吸機能障害(PaO2/FiO2比300)
・腎機能障害(乏尿、もしくはCre>2.0mg/dL)
・肝機能障害(PTーINR>1.5)
・血液凝固異常(血小板<10万/mm3)
中等症(Grade Ⅱ)
初診時に以下5つのうち2つ以上該当する。
もしくは、初期治療に反応しなかった場合。
・WBC>12,000 or <4,000
・発熱(体温≧39℃以上)
・年齢(75歳以上)
・黄疸(TーBil≧5mg/dL)
・Alb<健常値下限×0.73g/dL
軽症(Grade Ⅰ)
重症・中等症に該当しないもの

急性胆管炎の治療

抗菌薬

いずれの重症度でも抗菌薬の早期開始が重要。

血液培養を提出の上、開始すること。

胆汁移行性や ESBL産生菌などを考慮して抗菌薬を選択する。

軽症~中等症:セフトリアキソン(ロセフィン®︎)2g 1日1回

中等症~重症:タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン®︎)4.5g  1日3回

重症:ドリペネム(フィニバックス®︎)0.5g 1日3回

胆管ドレナージ・成因除去

胆管ドレナージは十二指腸胆管ステント留置などをいう。

EST(乳頭切開)や採石術は成因除去として行われる。

胆管空調吻合術などでERCPが困難な症例では外科的アプローチや経皮的アプローチが行われる。

軽症:
胆管炎治療後に待機的にERCPで採石する(胆管ドレナージと一緒に胆管炎経過中に行っても良い)。

中等症:
ERCPなどで胆管ドレナージを早期(可能なら24時間以内)に行う。採石を同時に行なっても良い。

重症:
循環・呼吸状態をある程度改善させたのち、緊急で胆管ドレナージを行う。結石が残存しているなど、成因に対して治療が必要な場合は全身状態が落ち着いてから待機的に行う。

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