萎縮胆嚢・慢性胆嚢炎|症状・検査/診断・治療
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慢性胆嚢炎
慢性胆嚢炎は、胆嚢の長期にわたる炎症で、ほとんどが胆石に起因する。通常、軽症も含めた急性胆嚢炎の既往に続いて生じる。
障害の程度は、慢性炎症細胞の軽度の浸潤から、線維化して縮小した胆嚢までさまざまである。線維化に伴う高度の石灰化は陶器様胆嚢と呼ばれる。
慢性胆嚢炎によって胆嚢上皮が廃絶した状態が萎縮胆嚢である、とする見解がある。
萎縮胆嚢
画像で胆嚢が確認できない、または縮小している(長径5cm未満など)状態を萎縮胆嚢という。
画像で胆嚢が観察されない、または萎縮している場合は、慢性胆嚢炎、胆嚢低形成、胆嚢消化管瘻の可能性を考える。
- 慢性胆嚢炎や胆嚢消化管瘻は胆嚢結石を伴うことが多い。
- 胆嚢消化管瘻では、胆石に伴う症状(疼痛や黄疸など)が突然消失した既往をしばしば認め、画像上は萎縮した胆嚢に胆嚢気腫を伴う。結石のほか、潰瘍や悪性腫瘍が原因で瘻孔を形成することもある。
症状
慢性胆嚢炎の主な症状は、繰り返す胆石発作(胆道痛)である。胆石が間欠的に胆嚢管を閉塞することで起こる。
- 発作時は心窩部の激しい腹痛が特徴で、15〜30分以上持続し、右肩甲骨〜肩への放散痛や悪心・嘔吐を伴うことが多い。
- 食後数時間で起こることが多く、高脂肪食で誘発されやすい。
- 右季肋部の疼痛や違和感を呈することもある。
- 炎症の程度と、胆石発作の強さ・頻度は相関しない。
- 発熱は通常なく、発熱があれば急性胆嚢炎を考える。
一方で、胆嚢結石の60〜80%は無症状である。萎縮胆嚢は画像検査で偶然見つかることもあり、無症状胆石の手術例の5.6%に肉眼的な萎縮胆嚢を認めたという報告がある。
検査・診断
まず血液検査と腹部USを行う。
腹部USでは、胆石と、ときに線維化して縮小した胆嚢を認める。慢性胆嚢炎では、びまん性の胆嚢壁肥厚と胆嚢の縮小、胆石を認め、胆嚢周囲の炎症所見はみられないのが典型的である。
充満結石などで胆嚢壁の詳細評価が難しい場合や、壁肥厚を伴い胆嚢癌の併存が疑われる場合は、造影CTやMRI/MRCP、EUSなども行うこと。
肝胆道系酵素の上昇などから胆管結石やMirizzi症候群・合流部胆石の併存が疑われる場合も、同様に精査する。
胆嚢癌との鑑別
壁肥厚を示す良性疾患として、以下に注意する。
- 黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC): 高度の増殖性線維化と泡沫細胞の浸潤を特徴とする慢性胆嚢炎の亜型。肥厚した壁の中の低エコーの結節や帯状構造、CTで粘膜線が保たれていることが手がかりになる(粘膜線の断裂は胆嚢癌と関連する)。ただし、臨床所見・検査・画像のいずれでも胆嚢癌との確実な鑑別は難しく、癌が疑われる場合は術中迅速病理診断を行う。
- 胆嚢腺筋腫症: 拡張したRokitansky-Aschoff洞(RAS)による壁内憩室が特徴。USではコメット様エコー、MRI T2強調像ではRASが数珠状の高信号(pearl necklace sign)として描出される。
治療
有症状の場合
有症状の胆嚢結石症に対しては、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行う。慢性胆嚢炎で胆道症状が続く場合も、一般に腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われる。
萎縮胆嚢の手術適応
萎縮胆嚢における胆嚢癌の合併頻度は明らかではない(萎縮胆嚢の手術例の4.4%に胆嚢癌を認めたというケースシリーズがある)。一方で、画像から胆嚢癌の合併を否定することは困難である。
萎縮胆嚢は結石の充満などで胆嚢壁の評価が難しいため、以前から胆嚢癌の高危険群として胆嚢摘出術の適応とされてきた。一方で、萎縮胆嚢からは症状も胆嚢癌も生じないだろうとする見解もある。
以下の所見があれば手術を考える。
- 充満結石
- 胆嚢内腔の評価ができない
- 炎症所見が乏しく胆嚢壁が肥厚
- 胆管狭窄
- 無石胆嚢炎
胆嚢壁の肥厚の程度や経過から胆嚢癌の合併が疑われる場合は、胆嚢摘出術を検討する(充満結石と胆嚢壁の肥厚は胆嚢癌の高危険群とされる)。
萎縮胆嚢や胆嚢消化管瘻は手術難度が高いことにも配慮する。
経過観察
いずれも認めない場合は、半年〜1年ごとの画像フォローを行うこと。
経過観察では、有症状化、急性胆嚢炎の発症、胆嚢癌の発生などを説明し、腹部USなどで定期的に検査する。
参考文献
- 日本消化器病学会(編). 胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂, 2021(BQ2(1)-1、BQ2(1)-2、CQ3(1)-1、CQ3(1)-2、FRQ3(1)-1). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/tanseki_2021.pdf
- Saiman Y. Chronic Cholecystitis. MSD Manual Professional Version. Last full review Oct 2025. https://www.msdmanuals.com/professional/hepatic-and-biliary-disorders/gallbladder-and-bile-duct-disorders/chronic-cholecystitis
- Cecava ND, Andrews R. Case report of xanthogranulomatous cholecystitis, review of its sonographic and magnetic resonance findings, and distinction from other gallbladder pathology. J Radiol Case Rep. 2011;5(4):19-24. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3303441/
- Deng YL, Cheng NS, Zhang SJ, et al. Xanthogranulomatous cholecystitis mimicking gallbladder carcinoma: An analysis of 42 cases. World J Gastroenterol. 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4658620/
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