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急性骨髄性白血病(AML)|症状・検査/診断・治療

急性骨髄性白血病(AML)の症状・診断

急性白血病の80~90%がAML

好発年齢は60~65歳だが、発症率は加齢とともに上昇する。

症状:倦怠感、発熱、易感染性、易出血性など

末梢血血液検査

血球
白血球数は芽球増加により増加する場合もあるが、骨髄内の白血病細胞の増殖により汎血球減少をきたす。末梢血白血球分画で骨髄芽球が増加する(目視検査を行うこと)。

芽球と成熟顆粒球を認めるが、中間の骨髄球を認めない(白血病裂孔)。

生化学検査
白血病細胞の増殖・崩壊により高LDH、高K、高リン、高尿酸血症など。

凝固検査
DICを合併した場合はPT延長、FDP増加、フィブリノゲン減少など。

骨髄検査

末梢血血液検査で白血病が疑われる場合は骨髄穿刺を行う。

※AMLが疑われる場合は骨髄穿刺の前に、すぐに血液内科医にコンサルトする方がよい。

骨髄検査
有核細胞の20%以上が白血病細胞 の場合、急性白血病と診断。骨髄芽球(または)を認めた場合,急性白血病と診断する.

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色で白血病細胞の3%以上が陽性の場合に、骨髄性と判断する(M5の一部、M7の場合は陰性なので注意)。

白血病細胞の染色体核型・遺伝子変異の有無などからAMLを分類する。

染色体核型や遺伝子変異によって予後も変わってくる。

特に、APLの染色体転座t(15;17)(q22;q21)(PML-RARA融合遺伝子)がある場合はAPLと診断される。APLはDICをきたし急変しやすいが、治療が適切に開始されれば予後はいい。

急性骨髄性白血病(AML)の治療

AMLは腫瘍の増殖が速く、早期に治療を開始する。

急性白血病は腫瘍細胞をすべてなくす(total cell kill)が治療コンセプトであり、強力な化学療法を繰り返し行う。

若年者には標準的寛解導入療法としてアントラサイクリン+シタラビンが投与される。

APLの場合は、全トランス型レチノイン酸(ATRA)を追加する。

化学療法のみでは治癒が困難な症例には同種造血幹細胞移植を検討する。

高齢・PS不良・合併症などから標準治療が行えない場合は、延命やQOL維持のために、治療強度をおとした化学療法が検討される。

60歳以下の予後良好群には、寛解導入後に地固め療法として大量シタラビン療法を検討する。

※2018年以降、AMLの約30%に活性型変異を認めるFLT3を標的としたFLT3阻害薬が保険適用となり、再発・難治性のFLT3遺伝子変異陽性AMLに使用されている。

発熱性好中球減少症(FN)
治療により易感染状態となるため常に要注意。感染源がみつからないこともあり、腫瘍熱とも鑑別が困難な場合があるが、治療が遅れると重篤になる可能性もあり、感染が疑われる場合は速やかに抗菌薬治療を開始する

 →FNについてはこちらを参照

腫瘍崩壊症候群(TLS)
強力な化学療法により白血病細胞が急速に壊れ、高尿酸血症、高K血症,高P血症、高LDH血症をきたす。そのため、腎不全、不整脈、痙攣などのリスクとなるので予防・早期介入が必要。

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