百日咳の特徴・診断
百日咳菌はグラム陰性桿菌で、飛沫・接触感染し、感染力は強い。
4種混合・3種混合ワクチンに含まれるが、10代後半頃から百日咳に対する効果は低下するため、小学校入学前に任意で追加接種が行われる。
潜伏期間は7~10日で、カタル期(1~2週間)、痙咳期(3~6週間)、回復期(6週間~)に分けられる。
カタル期は通常の感冒と違いがない。
痙咳期には発作性の咳や、咳による嘔吐がみられ、咳の間の間の吸気時にヒューという笛声(whoop)を認める。成人では症状が軽く咳が長引くだけ、ということも多いが感染源となり、小児に感染して重症化することもあるため治療が必要。
百日咳の診断
血液検査
リンパ球上昇を認めるが、成人では上昇しないことも多い。
胸部画像検査
百日咳は気道感染で、肺炎ではないので胸部画像検査では異常所見を認めないことが多い。
ただし、長引く咳嗽の鑑別で肺癌などを除外するために検査すること。
特異検査
発症から4週間以内ではLAMP法(咽頭や後鼻腔のぬぐい液)や、血清抗体で診断する。
血清抗体には山口株と東浜株がある。
発症初期にワンポイントで抗体で診断するには、ワクチン未接種か任意追加接種していない10代以上では、40倍以上で可能性あり。東浜株はワクチン接種後長期間高値の場合があり、東浜株のみ上昇の場合はペア血清で判断する。
ワンポイントで診断できない場合は、2週間以上間をあけてペア血清をとり、前値の4倍以上に上昇していれば百日咳と診断。
百日咳の治療
抗菌薬はカタル期に有効で、それ以降には効果はないとされるが、排菌量がへり感染防止効果ははあるので痙咳期以降にも抗菌薬投与が推奨される。
抗菌薬はマクロライド系が第1選択。
例)クラリスロマイシン(クラリス®︎)200mg 4T2×朝夕食後 7日間
例)アジスロマイシン(ジスロマック®︎)250mg 2T1×朝食後 5日間
※アジスロマイシンは一般的に3日間投与が多いが、百日咳には5日間の投与が推奨されている(保険適応外)