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腎臓

ネフローゼ症候群|症状・診断・治療

ネフローゼ症候群の概要

ネフローゼ症候群は、腎糸球体係蹄障害による蛋白透過性亢進に基づき、大量の尿蛋白(主としてアルブミン)と、それに伴う低蛋白血症を特徴とする症候群である。

尿蛋白量と低アルブミン血症の両所見が基準を満たした場合に診断され、明らかな原因疾患がないものを一次性、原因疾患をもつものを二次性に分類する。

ネフローゼ症候群では、大量の尿蛋白、低アルブミン血症・低蛋白血症に起因する、浮腫、腎機能低下、脂質異常症、凝固線溶系異常、免疫異常症などさまざまな病態を伴う。

治療の効果は、治療後一定時期の尿蛋白量により判定する。

ネフローゼ症候群の疫学

日本腎臓学会指定研修施設・日本泌尿器科学会教育基幹施設を中心とした全国568診療科に対する2014年度のアンケート調査では、一次性ネフローゼ症候群の新規受療患者数は2,529例(うち腎生検施行例1,657例:65.5%)であった。そのうち難治性ネフローゼ症候群は384例(15.2%)であった。

若年層では微小変化群(MCNS)が70%強、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)が10%強を占めるが、高齢者層では膜性腎症(MN)が約50~60%、MCNSが20%前後、FSGSが10%弱を占める。

ネフローゼ症候群の身体所見・症状

  • 体液量過剰(浮腫、胸腹水)
    腎でのナトリウム排泄障害や再吸収亢進に伴う体液量過剰によるもので、体液貯留により体重は数kgからときには数十kgも増加する。細胞外液のうち、細胞間質液の増大は浮腫や胸腹水となって現れ、血漿量の増加は高血圧となって表現される。
  • 高血圧
    ネフローゼ症候群では、約10~60%の症例で発症時に高血圧を認める。特に、巣状分節性糸球体硬化症や膜性腎症では発症時に高血圧を呈する頻度が高い。また、夜間血圧下降が減少しているnon-dipper型日内変動異常を認める。
  • 尿異常
    高度蛋白尿では尿の泡立ちが目立つようになり、増殖性糸球体腎炎の発症極期や腎静脈血栓症の合併例では肉眼的血尿を認めることがある。微小変化型ネフローゼ症候群などで高度低アルブミン血症を生じる極期では、尿量の低下も自覚することがある。
  • 血栓症
    下肢浮腫の左右差や、圧痛、発赤・熱感がある場合は、下肢深部静脈血栓症を疑う必要がある。

高齢者のネフローゼ症候群において、二次性糸球体疾患の鑑別が必要であり、腎外症状を認めることが多い。

二次性ネフローゼ症候群を疑う臨床症状としては、発熱、関節症状(関節痛、関節変形)、腰痛などの骨痛、皮膚症状(紫斑、日光過敏症)、末梢および中枢神経障害、腹部症状(腹痛、下血など腸炎症状)、アレルギー症状(喘息、紅斑)、気道症状(副鼻腔炎、肺結節、肺胞出血)などが挙げられる。

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ネフローゼ症候群の検査・診断

ネフローゼ症候群の診断基準

  1. 高度蛋白尿
  2. 低アルブミン血症
  3. 低アルブミン血症に起因する浮腫
  4. 脂質異常症、血栓傾向

検査所見

尿所見

糸球体由来の血尿は、赤血球が多様な変形をもつ糸球体型赤血球であることが特徴。

  • 腎炎型尿沈渣:糸球体性血尿が優位で細胞性円柱(特に赤血球円柱)を伴う。
  • ネフローゼ型尿沈渣:血尿が少なく脂肪円柱や卵円形脂肪体を伴う高度蛋白尿。
  • 尿比重は一般的に高値を示すことが多い。

血液検査

  • 低アルブミン血症、腎機能障害、凝固・線溶異常、貧血、ホルモン異常

免疫血清学的検査

  • 免疫グロブリンの低下
  • 血清補体(C3,C4)価の低下
  • 自己抗体(抗核抗体、抗二重鎖DNA抗体、ANCA、抗GBM抗体など)

遺伝学的検査

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者で組織学的に微小変化および巣状分節性糸球体硬化を呈する場合は、遺伝学的検査を行うことを考慮する。

腎生検

ネフローゼ症候群は、その原因疾患により治療法や予後が異なるため、腎生検に禁忌がなければ原則的には腎生検による病理組織診断を行うべきである。

ただし、腎生検は侵襲的な検査であるので、適応を十分に検討する必要がある。

糖尿病罹患歴が長くて糖尿病性腎症が明らかな症例や、腎萎縮をすでに認めるような進行した腎不全の症例のように、腎生検検査を行っても治療方針の決定にかかわる情報が得られる可能性が少ない場合は、腎生検は適応外となる。

一次性膜性腎症の診断を行うために、腎生検の実施が難しい場合に抗PLA2R抗体を測定してもよい。

鑑別診断

下腿浮腫を起こす疾患として、心不全、深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、肝硬変、甲状腺機能低下症などがあるので、高度尿蛋白が存在しているかをまず確認する必要がある。

  • 片側性の下腿浮腫の場合は、足に原因があると考え、深部静脈血栓症や下肢静脈瘤などを疑う。
  • 低アルブミン血症が存在するにもかかわらず高度蛋白尿がない場合は、肝硬変を、圧痕を残さない浮腫は甲状腺機能低下症を疑う。

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ネフローゼ症候群の合併症

副腎皮質ステロイドなどの治療に関連していると考えられる糖尿病が、合併症として最も頻度が高い。次に頻度が高いのが感染症である。ほかに、悪性腫瘍、血栓症、急性腎障害に注意が必要である。

治療で副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を使用するため、糖尿病、胃・十二指腸潰瘍、出血性膀胱炎、感染症(細菌・真菌・ウイルス)などの予防・対策が必要である。

ネフローゼ症候群の治療法

微小変化群(MCNS)

  • 初期治療:経口プレドニゾロン1mg/kgBW/日(最大60mg/日)を2~4週程度継続。
  • 再発例:ネフローゼ症候群の寛解と再発予防、腎機能低下抑制の点から、ステロイドに加えシクロスポリンを併用。
  • 頻回再発例、ステロイド依存例:ステロイドと免疫抑制薬(シクロスポリン、またはシクロホスファミド、またはミゾリビン)の併用によっても頻回再発型およびステロイド依存性を示すMCNSには、リツキシマブの投与を考慮。

巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)

  • 初期治療:経口プレドニゾロン(PSL)1mg/kgBW/日(最大60mg/日)相当で、2~4週程度継続。蛋白尿の重症例、全身浮腫が著明な例ではステロイドパルス療法も考慮。
  • 再発例:MCNSの再発例に対する治療に準じる。ネフローゼ症候群の寛解と再発予防、腎機能低下抑制の点から、ステロイドに加えシクロスポリンを併用。
  • 頻回再発例、ステロイド依存例:頻回再発、ステロイド依存性を示すMCNSに対する治療に準じる。ステロイドと免疫抑制薬(シクロスポリン、またはシクロホスファミド、またはミゾリビン)の併用によっても頻回再発型およびステロイド依存性を示すFSGSには、リツキシマブの投与を考慮してもよい。
  • ステロイド抵抗例:ステロイドに加え、免疫抑制薬(シクロスポリン、またはシクロホスファミド、またはミゾリビン、またはミコフェノール酸モフェチル)を併用。

膜性腎症

  • 初期治療:①補助療法・支持療法(利尿薬・ACE阻害薬・ARB・抗血小板薬を含む非免疫抑制療法)・生活指導(禁煙や体重管理)・減塩などの食事療法などの保存的療法、もしくは①に加えて②ステロイド単独療法、③ステロイドと免疫抑制薬の併用療法を横並びとし、どの治療から開始してもよい。
  • 保存的療法にて6カ月程度治療しても完全寛解あるいは不完全寛解Ⅰ型に至らない場合、ステロイド単独療法もしくはステロイド+免疫抑制療法への変更を考慮する。
  • ステロイド+免疫抑制療法に関して、保険適用のある免疫抑制薬のなかではシクロホスファミド・ミゾリビン・ACTHに支持療法群と比較して寛解に関して優れているというエビデンスがあるが、わが国では副作用の懸念からシクロスポリンを第一選択とする場合が多い。

ネフローゼ症候群の予後

原発性ネフローゼ症候群の腎予後は、微小変化群において良好だが、その他は5年以上の長期腎予後は良好とは言えない。

死因として、腎予後が良好な微小変化群を含め、感染症が多いことは治療を行ううえで重要なポイントである。

合併症としてその他に、悪性腫瘍や血栓症、急性腎障害に注意を払う必要がある。

1995~2014年の死亡票を利用した調査の結果、2010年時点でのネフローゼ症候群による平均損失生存可能年数は、男性12.7年、女性13.9年であった。悪性新生物よりも大きく、ネフローゼ症候群が予後不良な疾患であることが報告されている。

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