膠原病

シェーグレン症候群|症状・検査/診断・治療

シェーグレン症候群

 シェーグレン症候群は唾液腺や涙腺といった外分泌腺の慢性炎症をおこし分泌機能が低下する自己免疫疾患。 

<疫学>
男:女=1:13
好発年齢:40~~60代

<分類>
一次性:他の膠原病合併がない
二次性:関節リウマチ、SLE、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性強皮症などの膠原病に合併

腺型:病変が涙腺・唾液腺に限局
腺外型:病変が全身臓器

シェーグレン症候群の症状、合併症

乾燥症状:
ドライアイ、ドライマウス、唾液腺腫脹、皮膚乾燥、膣乾燥

全身:
発熱、倦怠感

皮膚:
乾燥、Raynaud現象、環状紅斑、下肢の網状皮斑

関節:
関節炎

肺:
間質性肺炎、嗄声、乾性咳嗽

他:
原発性胆汁性胆管炎、自己免疫性肝炎、橋本病 など

シェーグレン症候群の検査

血液検査ー自己抗体

 抗核抗体:感度88%、特異度45%

 抗SSーA/Ro抗体:感度73%、特異度77%

 抗SSーB/La抗体:感度18%、特異度96%

眼科検査

 シルマー試験、ローズベンガル試験、蛍光染色(フルオレセイン)試験

口腔検査

 ガム試験、サクソンテスト、唾液腺シンチグラフィ

シェーグレン症候群の診断基準

厚生省改定診断基準(1999年)とACR/EULARの一次性SS分類基準(2016)がある。

厚労省基準:感度82.1%、特異度90.9%
ACR基準:感度95.4%特異度72.1%
(Ann Rheum Dis 76: 1980-195, 2017)。

①厚生省改定診断基準

下記4項目のうち、いずれか2項目以上を満たす
 →「シェーグレン症候群」と診断

1.生検病理組織検査で次のいずれかが陽性
 A:口唇腺組織4mm2あたり1focus以上(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)
B:涙腺組織4mm2あたり1focus以上(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)

2.口腔検査で次のいずれかが陽性
 A:唾液腺造影でStage1(直径1mm未満の小点状陰影)以上の異常所見
 B:唾液分泌量低下(ガム試験にて10分間10ml以下またはサクソンテストにて2分間で2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見

3.眼科検査で次のいずれかが陽性
 A:Schirmer試験で5 分間に5mm以下で、かつローズベンガル試験(van Bijsterveld スコア)で3以上
 B:Schirmer試験で5分間に5mm以下で、かつ蛍光色素試験で陽性

4.血清検査で次のいずれかが陽性
 A:抗SSーA抗体陽性
 B:抗SSーB抗体陽性

②ACR/EULARの一次性SS分類基準

下記の合計が4点以上
 →一次性シェーグレン症候群

口唇唾液腺の巣状リンパ球性唾液腺炎でフォーカススコア≧13
抗SSーA/Ro抗体陽性3
少なくとも1方の眼でOSS≧5(あるいはVan Bijsterveld≧4)1
少なくとも1方の眼でシルマー試験≦5mm/5分1
無刺激唾液分泌量≦0.1mL/分1

シェーグレン症候群の治療

・腺外症状:
関節痛などにはNSAIDsを使用。他にはステロイドや免疫抑制薬が使用される。

・ドライアイ:
ヒアルロン酸Na点眼やジクアソホルNa点眼(ジクアス®︎)などの点眼薬を。

・ドライマウス:
人工唾液(サリベート®︎)やセビメリン塩酸塩水和物(エボザック®︎、サリグレン®︎)、ピロカルピン塩酸塩(サラジェン®︎)が使用される。

シェーグレン症候群の予後

 予後は比較的良好で、10~20年後に重症化するのは5%程度とされる。

 血管炎やリンパ増殖性疾患の合併など臓器合併症がなければ生命予後も良好。

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