SLEの特徴
・抗DNA抗体ー DNAなどの免疫複合体が組織沈着し全身の炎症をおこす。
・好発年齢:20~40歳
・男:女=1:10
SLEの症状
全身:発熱、倦怠感
皮膚:蝶形紅斑、日光過敏、ディスコイド疹(円盤状皮疹。顔や関節伸側にでる円形でやや隆起し中心は褪色した発赤疹)、Raynaud現象
関節:非破壊性多発関節炎
神経:うつ状態、痙攣、妄想、脳血管障害、脳炎
肺;咳、喀血
SLEの合併症
・抗リン脂質抗体症候群(APS):10~30%合併し、習慣流産や動静脈血栓症がみられる。
・ループス腎炎:約50%に合併
・CNSループス:中枢神経症状。
・自己免疫性溶血性貧血
・血小板減少性紫斑病
・間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症
・心外膜炎 など
SLEの検査
血液検査の代表的項目を示す。
・汎血球減少
・CRP↑
・赤沈↑
・補体↓(CH50,C3,C4)
・抗核抗体(+)(peripheral ,homogenous, spleckled)
・抗dsDNA抗体(+)
・抗Sm抗体(+)
・抗リン脂質抗体(+)*
*抗カルジオリピン抗体・ループスアンチコアグラント・梅毒反応偽陽性
ACR/EULAR分類2019
必須条件:「抗核抗体80倍以上」
(SLEの抗核抗体陽性率は97%)
臨床項目 | 全身症状 | 発熱(38.3℃以上) | 2 |
皮膚 | 非瘢痕性脱毛 | 2 | |
口腔内潰瘍 | 2 | ||
亜急性皮膚ループス または円盤状皮疹 | 4 | ||
急性皮膚ループス | 6 | ||
関節炎 | 2関節以上の腫脹を伴う関節炎、 または 2関節以上での圧痛と30分以上の朝のこわばり | 6 | |
神経 | せん妄 | 2 | |
精神症状 | 3 | ||
けいれん | 5 | ||
漿膜炎 | 胸水または心嚢水 | 5 | |
急性心膜炎 | 6 | ||
血液 | 白血球<4000μL | 3 | |
血小板<10万/μL | 4 | ||
自己免疫性溶血(直接クームステスト(+)かつハプトグロビン低下) | 4 | ||
腎臓 | 蛋白尿>0.5g/日 | 4 | |
クラスⅡまたはⅤのループス腎炎 | 8 | ||
クラスⅢまたはⅣのループス腎炎 | 10 | ||
免疫学的項目 | 抗リン脂質抗体 | 抗カルジオリピン抗体(+) または、抗β2GP1抗体(+) またはループスアンチコアグラント(+) | 2 |
補体 | C3、C4 | 片方低下→3 両方低下→4 |
|
SLE自己抗体 | 抗dsDNA抗体(+) または、抗Sm抗体(+) | 6 |
臨床項目1項目以上を含む、かつ、合計10点以上でSLE。
(感度96%、特異度93%)
※ループス腎炎:腎生検で、クラスⅡ(メサンギウム増殖性ループス腎炎)、クラスⅢ(巣状ループス腎炎)、クラスⅣ(びまん性ループス腎炎)、クラスⅤ(膜性ループス腎炎)。
SLEが疑われたら
診断、治療ともに幅が広く、疑われた段階で専門医へ紹介すべきである。
慢性経過をたどるが、治療を早期に開始できれば5年生存率は95%%以上。