関節リウマチを疑う症状、特徴
・朝のこわばり(30分以内に改善)
・関節の痛みや腫脹は左右対称。
・手指ではDIPは非常に少なく、PIPや MCPにおきる。
・全身症状:微熱、倦怠感、体重減少、貧血など
・発症のピークは30~50歳代
・男女比=1:4
関節リウマチを疑うときの検査
リウマトイド因子、抗CCP抗体(以下参照)
血算、生化学一般、CRP、赤沈、抗核抗体
胸写、関節Xp
リウマトイド因子と抗CCP抗体
リウマトイド因子:感度69%、特異度85%
抗CCP抗体:感度67%、特異度95%
(Ann Intern Med 146 : 797-808, 2007)
関節リウマチの関節外合併症
動脈硬化性疾患、肺障害、腎障害、貧血など
関節リウマチ分類基準(ACR/EULAR)
6点以上で関節リウマチ(RA)と分類される。
他の疾患でも6点以上になることがあり、除外しておくことが大事。
評価指標 | 判定基準 | スコア |
---|---|---|
腫脹や圧痛のある関節数*1 | 1個の大関節*2 | 0 |
2〜10個の大関節*2 | 1 | |
1〜3個の小関節*3 | 2 | |
4〜10個の小関節*3 | 3 | |
11関節以上(1個以上の小関節含む*2 | 5 | |
血清学的検査(RFと抗CCP抗体) | いずれも陰性 | 0 |
いずれかが低値陽性*4 | 2 | |
いずれかが高値陽性*5 | 3 | |
急性期反応物質(CRPと赤沈) | いずれも正常 | 0 |
いずれかが異常 | 1 | |
症状の持続 | 6週間未満 | 0 |
6週間以上 | 1 |
*1:DIP、第1CM関節、第1MTP関節は除外
*2:大関節:肩、肘、股、膝、足関節
*3:小関節:MCP、PIP、第1IP、MTP(第2−5)、手関節
*4:基準値上限~上限の3倍未満
*5:基準値の3倍以上
RF:リウマトイド因子、DIP:遠位指節間関節、PIP:近位指節間関節、MCP:中手指節関節、MTP:中足趾節関節、CM:手根中手間関節、IP:指節間関節
関節リウマチの治療
疾患活動性の指標
CDAIかSDAIのスコアを計算して疾患活動性を評価する。
CDAI =圧痛関節数+腫脹関節数+患者VAS+医師VAS | SDAI =CDAI+CRP(mg/dl) |
|
---|---|---|
寛解 | ≦2.8 | ≦3.3 |
低疾患活動性 | 2.8< CDAI ≦10 | 3.3< SDAI ≦11 |
中疾患活動性 | 10< CDAI ≦22 | 11< SDAI ≦26 |
高疾患活動性 | 22< | 26< |
*VAS:visual analogue scale(健康状態全般評価:0~10cm)
関節リウマチの治療薬
関節破壊が進まぬよう、抗リウマチ薬(DMARDs)による早期治療開始が大事。
治療目標は臨床的寛解(臨床症状・徴候が焼失した状態)。
投薬開始時は確定診断、治療薬選択、助成制度申請などあり難しく、専門医へ紹介すること。
メトトレキセート(MTX、葉酸代謝拮抗剤)が第一選択薬。
例)MTX(リウマトレックス®︎)カプセル 2mg
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。
なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。(添付文書より引用)
※MTXを開始後4週しても効果が得られない場合は、2mg/4週のペースで増量(最大16mg/週)。
※消化器症状、肝機能障害等の副作用の予防のため、MTX内服日から1日あけて葉酸を内服。
副作用や禁忌で使用できない場合に他薬剤を使用。もしくは目標達成できない場合は複数薬併用する。
MTXの副作用:
口内炎、倦怠感、肝障害、骨髄抑制、間質性肺炎、易感染性、リンパ増殖性疾患など
MTX禁忌:
透析患者、高度な呼吸器障害、、胸腹水、、妊婦・授乳婦、B型肝炎ウイルス保持者
MTX以外に使用される薬剤:
サラゾスルファピリジン、ブシラミン、タクロリムス、イグラチモド生物学的製剤(TNFーα阻害薬、ILー6阻害薬、T細胞活性化阻害薬)、低分子化合物
ステロイドやNSAIDs:
短期の症状コントロールには使えるが長期使用では副作用の方が目立つ。