整形外科

骨粗鬆症|症状・検査/診断・治療

原発性骨粗鬆症の診断基準

 続発性骨粗鬆症ではなく、①か②のいずれかを満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断される。

①脆弱性骨折あり

②脆弱性骨折はないが、骨密度がYAM(若年成人の平均値)の70%未満

続発性骨粗鬆症

 ステロイド、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、Cushing症候群など

 ※ステロイド性骨粗鬆症はこちら

原発性骨粗鬆症の治療開始基準 

骨粗鬆症診断

(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版から引用、一部改変)

骨粗鬆症の生活指導

・日光浴

・運動(ウォーキングなど)

・食事指導
 →カルシウム(乳製品、小魚、大豆、緑黄色野菜)
  ビタミンD(魚、卵、きのこ、海藻類)
  ビタミンK(納豆、キャベツ)

・禁煙

・アルコールの減量

・転倒予防

骨粗鬆症への薬物治療

エビデンスについては以下の通り。

・大腿骨骨折防止効果あり→アレンドロン酸、リセドロン酸、デノスマブ

・椎体骨骨折防止効果・骨密度上昇→ビスホスホネート、デノスマブ、テリパラチド

①ビスホスホネート

 第一選択。

 例)アレンドロン酸ナトリウム35mg1T1×朝起床時 週1回

 例)リセドロン酸ナトリウム17.5mg1T1×朝起床時 週1回

 例)リセドロン酸ナトリウム75mg1T1×朝起床時 月1回

※1必ずコップ1杯の水と一緒に内服し、内服後30分は臥床、食事は禁止。

※禁忌:
CCr<30mL/分、食道狭窄・アカラシア・食道静脈瘤、※1が不可能な患者

※顎骨壊死について:
ビスホスホネート投与中に抜歯などの歯科治療を行うと顎骨壊死のリスクが上がるとされる。特に静注薬で上がりやすく、処置前に休薬すべき(抜歯後14~21日して再開)。経口薬は、内服歴3年以内でステロイド投与中などリスクがない場合は休薬する必要がない。内服歴3年以上か、3年以内でもステロイド投与中などリスクがあれば、歯科処置前3ヶ月間は少なくとも休薬すべき(抜歯後14~21日して再開)。

②活性型ビタミンD3

 例)アルファカルシドール1μg 1Cp1×朝食後

 例)エルデカルシトール0.75μg1Cp×朝食後

※高Ca血症に注意

③SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

 例)ラロキシフェン(エビスタ®︎)60mg1T1×朝食後

 ※閉経後早期の比較的若年の女性に

 ※深部静脈血栓症等の既往があれば禁忌

 ※心血管系リスクや乳がんリスクの上昇に注意

④複合性カルシトニン誘導体

 例)エルカトニン(エルシトニン®︎)注(20IU/1mL) を週に1回筋注射(3ヶ月間まで) 

 ※骨粗鬆症における疼痛に対して適応。

 ※鎮痛効果はあるが骨維持効果は弱い。漫然と投与しない。

⑤PTH製剤:テリパラチド

 例)フォルテオ皮下注キット(600μg/2.4mL)®︎1回20μg 1日1回 自分で皮下注射 24ヶ月間まで

 例)テリボン®︎1回56.5μg 週1回 医療機関で皮下注射 72週間まで

 ※骨形成促進薬。他薬剤でも骨折する場合などに使用。骨肉腫や高Ca血症に注意。

⑥抗RANKL抗体

 例)デノスマブ(プラリア®︎)1回60μg 皮下注射 6ヶ月に1回

 ※骨吸収抑制薬。低Ca血症に注意。

 ※顎骨壊死のリスクあり歯科処置前は休薬

ステロイド性骨粗鬆症

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