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発作性上室頻拍(PSVT)|症状・診断・治療

10秒サマリー

  • 定義:突然始まり突然終わる、QRS幅の狭い(narrow QRS)規則正しい頻拍。
  • 主な原因:房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)と、WPW症候群などに伴う房室回帰性頻拍(AVRT)が大半を占める。
  • 急性期治療:血行動態安定時は迷走神経刺激手技を試み、無効ならアデノシン(ATP)静注。不安定時は電気的除細動。
  • 根治治療:カテーテルアブレーションが第一選択。成功率は95%以上と極めて高い。

概要・疫学

発作性上室頻拍(PSVT)は、心房や房室接合部を含むリエントリー回路を電気信号が旋回することで生じる。全人口の約0.2%に認められ、若年者や女性に比較的多い。内訳は、房室結節内の二重伝導路を介するAVNRT(約60%)と、先天的な副伝導路(ケント束)を介するWPW症候群によるAVRT(約30%)が中心である。

症状・身体所見

  • 症状:突然の動悸が主訴であり、「スイッチが入ったように始まり、止まる」のが典型。胸部違和感、不安感、冷や汗を伴うこともある。
  • 血行動態:基礎疾患として慢性心不全がある場合、頻拍による心拍出量低下から血圧低下や失神を来しやすいため注意が必要である。
  • 身体所見:脈拍は150〜250回/分程度で、規則正しく整である。

初期検査・鑑別診断

  • 12誘導心電図:発作時は narrow QRS tachycardia を呈する。非発作時の心電図でデルタ波を認める場合はWPW症候群と診断される。
  • 鑑別疾患:心房細動(通常は不整だが、極端な頻脈では整に見えることもある)や、1:1伝導の心房粗動との鑑別を要する。

専門医へのコンサル基準

  • 頻回な発作により日常生活に支障があり、根治(アブレーション)を希望する場合。
  • 発作に伴い、失神や心不全悪化などの重篤な血行動態の変化を呈する場合。
  • 非発作時の心電図で、WPW症候群を疑うデルタ波が認められ、精査が必要な場合。

診断基準・精査の詳細

確定診断には心臓電気生理学的検査(EPS)が行われる。心房・心室の興奮順序を解析することで、AVNRTか、あるいはWPW症候群を基盤とするAVRTかを特定し、アブレーションのターゲットを決定する。

治療法・具体的な処方例

1. 急性期停止治療(迷走神経刺激手技)

血行動態が安定している場合、第一選択として以下の手技を試みる。

  • バルサルバ手技:仰臥位で20秒程度の強い怒責を行う。他動的に下肢を挙上させる「修正バルサルバ手技」は停止率が高い。
  • 頸動脈洞マッサージ:頸動脈狭窄の有無を聴診で確認後、片側ずつ施行する(脳梗塞既往者は禁忌)。

2. 急性期停止治療(薬物・電気的除細動)

  • アデノシン三リン酸(ATP)静注:ATP(アデノス等)10mgを迅速静注。直ちに生食20mLでフラッシュする。※気管支喘息には禁忌。
  • カルシウム拮抗薬静注:ベラパミル(ワソラン)5mgを緩徐に静注。
  • 電気的除細動:血行動態不安定時は、同期的電気的除細動(50-100J)を迷わず行う。

3. 慢性期管理(再発予防)

  • β遮断薬(第一選択):ビソプロロール(メインテート)0.625mg〜2.5mg 1日1回。
  • 非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬:ベラパミル(ワソラン)120mg〜240mg 1日3回分割。※収縮不全を伴う心不全には禁忌。

resi Dr.の眼(Pitfalls・匙加減)

  • Wide QRS頻拍との識別:QRS幅が広い場合、変行伝導を伴うPSVTと心室頻拍(VT)の鑑別は困難。また、WPW症候群に心房細動が合併した「偽性VT」の可能性もある。判別がつかない場合はVTとして扱い、ベラパミルの投与は避けるのが鉄則。
  • ATPの「追い」の技術:半減期が極めて短いため、三方活栓を用いて生食で一気に押し込む「two-syringe technique」が必須である。

予後・患者説明のポイント

  • 「心臓そのものが止まってしまう不整脈ではないが、アブレーションで根治できる」と伝え、安心感を与える。
  • 特にWPW症候群が原因の場合、放置すると稀に致死的な不整脈を誘発する可能性があるため、専門医受診を勧める。

参考文献

  • 2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
  • 2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
  • 2024年JCS/JHRS ガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療

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