腸結核|診断・治療法
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腸結核とは
腸結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を飲み込んだり、血行性に伝播するなどして小腸や大腸に到達しておこる感染性腸炎。
肺結核とともに減少してきた。日本の新登録結核患者数は2024年も前年より減少している(10,051人、罹患率は人口10万対8.1)が、腸結核の報告では高齢発症者の割合が増加しており、生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など)の使用に伴う発症にも注意が必要である。
回盲部を中心に多発潰瘍を形成し、その潰瘍が融合し輪状潰瘍や帯状潰瘍といった特徴的な所見を呈する。治癒瘢痕により狭窄することもある。
感染症法上の取り扱い
腸結核は他の結核菌感染症と同様に、感染症法で二類感染症に分類されるため、診断後ただちに医師は最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所設置市等ではその長)に届け出る義務がある。
腸結核の分類
腸結核は原発性と続発性に分類される。
- 原発性:肺など腸以外に結核病巣を認めず、結核菌が直接腸に病巣を形成したもの
- 続発性:肺など他臓器の結核病巣から二次的に腸に病巣を形成したもの
1995〜2015年の本邦報告例の集計では、CTなどによる肺結核の診断能の向上もあり、原発性腸結核は3割程度にまで減少していた。
※肺結核を合併している可能性があるので、肺の精査も行うこと。
腸結核の症状
腹痛(特に右下腹部)、下痢、下血、発熱、体重減少、腹部膨満、食欲低下など。
無症状で、便潜血など契機の内視鏡検査で見つかることもある(活動性大腸結核54例の検討では44%が無症状)。
腸結核の身体所見
腹部圧痛(特に右下腹部)、眼瞼結膜貧血など。
腸結核の検査•診断
血液検査
炎症反応(CRP、赤沈など)の軽度上昇。
インターフェロンγ遊離試験(IGRA:QFT[クォンティフェロン®TBゴールドプラス]やTスポット®.TB)で結核菌感染の補助診断を行う。結核菌への曝露から陽転化までは2〜3カ月程度と考えられているので、感染初期と思われる症例では再検も検討する。また、特異度は高いが、陽性でも過去の感染を反映している可能性があり、活動性結核と潜在性結核感染は区別できない。感度は必ずしも高くなく、免疫抑制状態や高齢者では低下するため、陰性でも結核感染を否定できない(IGRA陰性の活動性腸結核の報告もある)。
内視鏡検査
腸結核の典型像は、回盲部や右側結腸の多発する輪状潰瘍や帯状潰瘍であるが、発赤びらんのみの場合や不整形潰瘍をきたすこともある。
潰瘍が治癒して瘢痕が多発すると萎縮瘢痕帯を形成し、腸管の狭窄や短縮、バウヒン弁開大、偽憩室形成といった所見がみられる。萎縮瘢痕帯、腸管変形、多彩な潰瘍が画像診断の基本となる。
生検病理検査
病変部からの内視鏡生検組織で乾酪性肉芽腫が証明されれば確定診断となるが、陽性率は15%程度と低い。
細菌検査
病変部からの内視鏡生検組織の抗酸菌塗抹染色(Ziehl-Neelsen(チール-ニールセン)染色)や、結核菌培養•PCR法で結核菌の証明ができれば確定診断となるが、陽性率は高くない(活動性大腸結核54例の検討では生検組織の培養が48%と最も高かった。便培養の検出率は10%以下とされる)。
胸部検査
腸結核が肺結核の続発性である可能性があるため、胸部X線だけでなく胸部CTなどの画像検査や喀痰検査を行うこと。
腸結核の鑑別診断
回盲部に好発するクローン病、腸管ベーチェット病、NSAIDs起因性腸炎がよく鑑別にあがる。
特に、クローン病や腸管ベーチェット病と診断して治療で免疫抑制を行うと腸結核が悪化する可能性がある。
腸結核の診断
腸結核の確定診断は、病変部組織に乾酪性肉芽腫または結核菌を認めた場合となる。
ただし、確定診断がなかなかできず、他の疾患が除外される時は、診断的治療として治療を開始する場合もある。
腸結核は感染症法で二類感染症に分類されるため、診断後ただちに医師は最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所設置市等ではその長)に届け出る義務がある。
腸結核の治療
結核菌の治療経験のある施設での治療が望ましい。
肺結核と同様の標準治療として、INH、RFP、PZAにEB(またはSM)を加えた4剤による多剤併用療法を2ヶ月間行う。
その後、INHとRFPの2剤を4ヶ月間投与する(全治療期間6ヶ月[180日])。
糖尿病などの免疫低下を伴う合併症がある場合や、副腎皮質ステロイド・免疫抑制剤を使用している場合などは、維持期を3ヶ月延長して全治療期間9ヶ月とすることができる。
肝硬変・慢性C型肝炎などで肝障害の程度によりPZAが使用できない場合は、INH、RFP、EB(またはSM)の3剤を2ヶ月間行った後、INHとRFPの2剤を7ヶ月間、全治療期間9ヶ月(270日)治療する。
腸管狭窄による腸閉塞や穿孔などでは外科手術を検討する。
イソニアジド(INH)(イスコチン®)
主な副作用:肝障害・末梢神経炎・皮膚反応を伴う過敏症
リファンピシン(RFP)(リファジン®)
主な副作用:肝障害・胃腸障害・血小板減少による出血傾向
ピラジナミド(PZA)(ピラマイド®)
主な副作用:肝障害・関節痛・高尿酸血症
エタンブトール(EB)(エブトール®)
主な副作用:視力障害・四肢のしびれ感・皮疹
参考文献
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- 日本結核病学会治療委員会.「結核医療の基準」の改訂—2018年.結核 2018;93(1):61-68. https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol93%282018%29/vol93no1p61-68.pdf
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- イスコチン錠100mg・原末 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054956
- リファジンカプセル150mg 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058152
- ピラマイド原末 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054958
- エブトール錠 添付文書(KEGG MEDICUS)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00005775
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