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消化管

ペースメーカー装着患者へのESDはバイポーラナイフ?モノポーラではダメ?

ペースメーカー

ペースメーカー患者へのESDで考えること

ペースメーカー装着患者のESDではどんなデバイス・設定を使っていますか?

普段のESDではモノポーラのナイフを使用してると思いますが、ペースメーカーの設定などによっては心臓がポーズ(停止)してしまう可能性があります。

今回の記事では、ペースメーカーのある患者へのESDについて解説していきたいと思います。

ペースメーカーの仕組みー高周波で心臓とまる?

ペースメーカーはすごく簡単に言うと、心房か心室の拍動した電気を感知していますが、電気がこない(脈を打ってない)時間が長いと、ペースメーカーが刺激して拍動させる仕組みです。

ESDやEMRのときは高周波を使っていますが、その時の電気信号を心拍動とペースメーカーが勘違いして、ペースメーカーが刺激を出さずに、最悪心臓が止まったままになる可能性が、理論的にはあります。

ペースメーカー患者へのESDではバイポーラが推奨されている

あまり調べても根拠となる論文はみつからないんですが、一般的にペースメーカー患者に対してESDや EMRなどで高周波デバイスを使うときはバイポーラを使用しましょうと言われています。

これは、モノポーラだと、デバイス先端から対極板までの間を電気が流れますが、バイポーラだとデバイスの先端だけしか電気が流れないので、ペースメーカーが電気を間違って感知しにくいからなんです。

ちなみに、バイポーラはデバイスの先端だけしか電流が流れないので、深部に電気が流れにくいので、

  • 穿孔のリスクが少ない
  • 後出血のリスクが少ない

というメリットもあります。それを狙って使用するというのもアリですね。

実際、ペースメーカーがない患者さんにも、あえて止血鉗子はバイポーラを使うという先生もいます。

Jet B-knife(バイポーラ)の高周波設定

バイポーラの設定について紹介されているものは書籍・Webともにあまりみつからない。

自施設で行う場合はオリジナルの設定でされているかもしれませんね。

参考になるものを探していると、2022年10月に発刊された「大腸腫瘍内視鏡治療の要点と盲点」に、大腸ESDに対してJET B-knifeの設定を引用させていただきます。

フットスイッチVIO300DVIO3
黄ペダルDry CUT:Effect 3, 60WDry CUT: 4.7
青ペダルSpray COAG: Effect 2, 60WSpray COAG 5.2

詳しくはこちらの本に書いてありますので参考にしてください。

また、デバイスではJET B-knife(ゼオンメディカル社)が先端にボールチップがあり、送水機能もあるのでDualKnife J(オリンパス社)のように使えます。

ペースメーカーがあったら本当にモノポーラは使えないのか?

ここで、本質的な疑問ですが、本当にペースメーカーがあったらモノポーラは使えないのでしょうか?

実際、当院の循環器内科やペースメーカーのメーカーに問い合わせてみましたが、モニターしながらやれば別にモノポーラでもいいと思います、とのこと。

ペースメーカーからある程度離れたところに対極板を貼れば、ペースメーカー側に電流が行かないので大丈夫なようです。

ただ、万が一は考えて、モノポーラでやるなら循環器内科に待機しておいてもらった方がいいでしょうね。

なんでわざわざモノポーラを使おうとしているかというと、やっぱりバイポーラだといつもと切ってる感覚が違うので、なんとなくやりにくいんですよね。

できるなら使い慣れたモノポーラのナイフでやりたいじゃないですか(^^)

ちなみに私は、毎回ペースメーカーがある人にESDするときは循環器内科に確認して、モノポーラかバイポーラかを決めています。

あと、対極板を貼る位置ですが、胃なら右下腹部、大腸なら大腿部に貼ることが多いです。

あんまり処置部から離れすぎると電気も逃げるし、電気抵抗も増すので切れにくくなります。

結論:ペースメーカー装着患者のESDはバイポーラが無難だけど、モノポーラでやってもいい

上記の通り、ペースメーカー装着患者のESDはバイポーラが無難だけど、モノポーラでやってもいい、という結論です。

自分ひとりで決めずに、循環器内科やペースメーカーのメーカーの人と話し合って毎症例決めていくのがいいでしょう。

そういうのがめんどくさい場合はバイポーラでやった方がいいです。

が、それでもペースメーカーに何かあったら大変なのでやっぱり声はかけておきましょう。

モニターは常にしてくださいね!

ESD初心者におすすめの本

余談ですが、ESD初心者が勉強するのにおすすめの本があります。

写真多めで動画もwebでみれるし、基本から上部・下部のESDを網羅していて、非常にわかりやすい本です。

正直、一冊目から細かいことをいっぱい書かれた本を読んでも理解できないと思うので、この本から入ることをおすすめします。

また、消化器内視鏡の治療内視鏡全般の勉強をしたい人にはこの本がおすすめです。

止血術からバルーン拡張、S上結腸軸捻転解除、胃瘻造設、局注、ERCP、EMR,ESDなどなど。

治療内視鏡を広い範囲で網羅してあるので、1冊あると助かります。

後輩指導にも役立ちますね!

どちらも大圃(おおはた)先生の本ですが、わかりやすくてサクサク読めておすすめです♪

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