消化管

代表的な胃カメラの所見・用語について解説

胃カメラの所見

胃カメラの所見用紙に記載される代表的な用語について解説します。

胃底腺ポリープ

 ピロリ未感染や、PPI長期投与例で胃底線領域(体部・穹隆部)で認める。

 基本的に癌化しないが、ごく稀に一部胃底線型胃癌になることがあるので、発赤が強い場合や形が歪なものなどは生検するのが望ましい。

 良性ポリープであり1、2年毎のフォローで可。

胃過形成性ポリープ

 発赤の目立つ腺管が腫大した良性のポリープ。ピロリ菌現感染・既感染の胃でみられる。

 ピロリ菌を除菌すると縮小し消失することもある。

 良性ポリープであり1、2年毎のフォローで可。

 ポリープが大きい場合は出血することがあり、ピロリ菌除菌で経過をみるか、EMRでの切除などを検討することがある。

胃黄色腫

 ピロリ菌現感染・既感染胃でみられる。

 マクロファージが脂肪を貪食した像で黄色にみえる。

 良性の変化でありこれ自体の経過観察は不要。

腸上皮化生

 胃粘膜がピロリ菌感染により小腸粘膜の成分に変わった状態で、通常の胃粘膜よりも発癌しやすい。

地図状発赤

 ピロリ菌現感染では腸上皮化生は周囲よりやや褪色調だが、既感染では周囲の赤みがひいて逆に赤くみえ、地図状発赤となる。癌化のリスクがあり、かつ癌の存在診断もやや難しく注意を要する。

隆起型びらん

 以前は「たこイボビラン」といわれていたもの。インジゴカルミン(青色色素)散布後に目立つ。ピロリ菌現感染・既感染でめだつが、未感染でもみられる。これ自体は良性だが、ときに癌がまぎれこみ、注意を要する。

 

胃血管拡張

 血管が拡張し発赤領域を呈する領域。同部に血流が集中するため周囲数mmはやや退色調。生検すると出血多量のリスクあり生検はしない。良性疾患。出血することが稀にあるが、そのときは内視鏡的にAPC焼灼を行い止血する。

稜線上発赤

 体部のヒダ上にみられる線状の発赤。ピロリ菌未感染胃でみられる。ヒダが蠕動などでこすれて発赤しているだけなので放置可。

ヘマチン

 胃内に明らかなびらんなどを伴わずにヘマチン(茶色の血液)が付着していることがあるが、これは腺から滲み出た血液と考えられており、病的意義はない。ピロリ菌未感染胃にみられる。

胃SMT(粘膜下腫瘍)

 粘膜表面に粘膜下腫瘍が露出していないため、通常の生検をしても組織を採取できず診断が難しい。大きさや硬さ、形などからボーリング生検やEUSーFNAなどの必要性を検討する。

胃潰瘍

 こちらを参照。

胃腺腫・胃癌

 粘膜下層(sm)以降に浸潤していなければESDが検討できる。

-消化管