大腸憩室出血の特徴
腹痛を伴わない出血。
S状結腸や下行結腸の憩室出血では鮮血が多いが(時間がたつと暗赤色になるが)、上行結腸の憩室出血では大量出血でなければ暗赤色になることが多い。
大腸憩室出血の検査・対応
①下痢の有無や腹痛の有無など病歴を確認。
腹痛を伴わない急な血便では憩室出血を疑い検査を行う。
②バイタルサインが不安定であればまず輸液や輸血で安定化を図る
③上部消化管出血の可能性を除外
上部消化管出血で鮮血に近い暗赤色の下血が出る時は大量出血の可能性がある。
リスクがある場合や、エコーやCTで胃壁の肥厚を認めるなどあれば先に以下を検討。
・胃管を挿入し血液が引けないか確認(出血していても引けない時があり注意)
・上部消化管内視鏡検査
④腹部CT
全例では必要ないが出血の原因を下部消化管内視鏡検査の前に絞れるため、有用。
憩室の有無や腸管の壁肥厚などが確認できる。
造影CTが可能であれば腸管の評価がしやすく特に有用。造影剤の漏出(extravasation)で、稀に出血源の同定もできる。
⑤下部消化管内視鏡検査
憩室出血の疑いであればバイタルサインに気をつけながら、通常の前処置を行なって、可能な限り早めに内視鏡検査を行う。
憩室出血の治療
憩室出血は70−90%で自然止血するが、自然止血すると出血源を同定できなくなる。
また、再出血率も20ー−40%と高いので、止血術を積極的に行う。
止血術は内視鏡的止血術が第一選択。
クリップ法や局注法などがあるが、近年は憩室をバンドで結紮するバンド結紮術(EBL)の止血率、再発抑制率の観点で有効性が高いとされている(ただし、ステロイド使用や透析患者では遅発性穿孔リスクあり)。
内視鏡的に止血困難な場合は血管造影による動脈塞栓術や、手術が検討される。
大腸憩室出血の予防
・便秘対策(食物繊維の多い食事、運動、排便習慣、水分接種など)
・肥満解消
・節酒
・禁煙
・抗血栓薬の見直し
・NSAIDsの減量