急性胆嚢炎の診断基準
A.局所の臨床徴候いずれかあり |
Aー1.Murphy徴候(*) Aー2.右上腹部の腫瘤触知・自発痛・圧痛 |
B.全身の炎症所見いずれかあり |
Bー1.発熱 B−2.CRP値の上昇 Bー3.白血球数の上昇 |
C.急性胆嚢炎の画像所見あり |
C.胆嚢腫大・胆嚢壁肥厚・胆嚢周囲液体貯留・胆嚢周囲膿瘍・胆石など |
確信:A+B+C
疑信:A+B
(*)Murphy徴候:右季肋部を圧迫した状態で深吸気すると息が止まる
急性胆嚢炎の重症度
重症(Grade Ⅲ) |
以下のいずれかを認める ・循環障害(ドパミン≧5μg/kg/min、もしくはノルアドレナリン使用) ・中枢神経障害(意識障害) ・呼吸機能障害(PaO2/FiO2比300) ・腎機能障害(乏尿、もしくはCre>2.0mg/dL) ・肝機能障害(PTーINR>1.5) ・血液凝固異常(血小板<10万/mm3) |
中等症(Grade Ⅱ) |
以下のいずれかを認める。 ・WBC>18,000 ・右季肋部の有痛性腫瘤触知 ・症状出現後72時間以上の症状の持続 ・顕著な局所炎症所見(壊疽性胆嚢炎、胆嚢周囲膿瘍、肝膿瘍、胆汁性腹膜炎、気腫性胆嚢炎など示唆) |
軽症(Grade Ⅰ) |
重症・中等症に該当しないもの |
急性胆嚢炎の治療
抗菌薬
いずれの重症度でも抗菌薬の早期開始が重要。
血液培養を提出の上、開始すること。
軽症~中等症:セフトリアキソン(ロセフィン®︎)2g 1日1回
中等症~重症:タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン®︎)4.5g 1日3回
重症:ドリペネム(フィニバックス®︎)0.5g 1日3回
手術・ドレナージ
軽症:
耐術であれば早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術。
耐術でなければ保存的加療を行い、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を考慮。
中等症:
耐術であれば早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術(必要時開腹手術へ移行)。
耐術でなければ保存的加療を行い胆嚢ドレナージを考慮する。
重症:
全身管理下で耐術であれば早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術。
耐術でなければ保存的加療を行い、緊急または早期の胆嚢ドレナージを検討する。
※胆嚢炎の手術時期:発症から遅くとも1週間以内(可能であれば72時間以内)。
※胆嚢ドレナージ:PTGBD(経皮経肝胆嚢ドレナージ)、PTGBA(経皮経肝胆嚢穿刺吸引)、ETGBD(内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ)があり、症例によって使い分けられる。