臨床ガイド医師のキャリア検査データ家庭医療
メディクミ ↗ クリニックHP ↗

心室期外収縮PVC|症状•検査/診断•治療

最終更新日:

目次
  1. 10秒サマリー
  2. 概要・疫学
  3. 症状・身体所見
  4. 初期検査・鑑別診断
  5. 専門医へのコンサル基準
  6. 診断基準・精査の詳細
  7. 治療法・具体的な処方例
  8. resi Dr.の眼(Pitfalls・匙加減)
  9. 予後・患者説明のポイント
  10. 参考文献

10秒サマリー

  • PVCとは: 心室内の異所性興奮により、正常調律より早く心室が収縮する不整脈。
  • 予後: 特発性は良好だが、頻発例(1日総心拍数の10%以上)はPVC誘発性心筋症に注意が必要。
  • 評価: 心エコー(必要に応じて造影心臓MRI)での器質的疾患の除外と、ホルター心電図での頻度(バーデン)把握が必須。
  • 治療: 症状改善にはβ遮断薬またはCa拮抗薬(推奨クラスIIa)、根治や心機能改善目的にはカテーテルアブレーションが有効。

概要・疫学

心室期外収縮(PVC)は、ヒス束分岐部以下を起源とする期外収縮である。ホルター心電図を行うと健常者でも一定の頻度で記録され、心血管病の危険因子のない若年者では、PVCがただちに心臓突然死の危険因子となることはない。臨床的には、心臓に構造的異常がない「特発性」と、心筋梗塞や心筋症、弁膜症などに合併する「器質的心疾患に伴うもの」に大別される。

また、PVCが3連発以上連続するものは心室頻拍(VT)であり、30秒未満で自然停止するものを非持続性心室頻拍(NSVT) と呼ぶ。器質的心疾患(心筋梗塞後、拡張型心筋症、肥大型心筋症など)を伴う場合のNSVTは、致死的な心室頻拍(VT)や心室細動(VF)・心臓突然死のリスク指標となるため、特に注意が必要である。

症状・身体所見

単発や出現頻度が低い場合は無症状のことが多く、健診で発見されることも多い。連発や出現頻度が多い場合には、以下の症状を呈することがある。

  • 自覚症状: 「胸がつまる感じ」「脈が飛ぶ(結滞感)」「ドキンとする」といった動悸。
  • 身体所見: 脈拍の触診にて、不規則な結滞(脈が抜ける)を認める。

初期検査・鑑別診断

診断の主眼は、予後を左右する器質的心疾患の有無を評価することにある。

  • 12誘導心電図: PVCの波形(QRS幅や軸)から起源を推測し、単源性か多源性かを確認する(例:乳頭筋起源は右脚ブロック型、束枝起源は右脚ブロック・左軸偏位型が多い)。QRS幅が150ms以上のPVCはPVC誘発性心筋症のリスク因子とされる。
  • 心エコー検査: 左室収縮能(LVEF)の評価、心肥大、弁膜症、心筋梗塞の痕跡など、構造的異常を検索する。
  • ホルター心電図: 24時間の総心拍数に対するPVCの割合(バーデン)を算出する。1日総心拍数の10%以上(1日1万個以上)の頻発例では、将来的な心機能低下(PVC誘発性心筋症)のリスクを考慮する。PVCの出現には日内・日差変動があるため、1回の24時間記録だけで判断しない(正確なバーデン評価には1週間以上の長時間モニタリングが重要とする報告もある)。
  • 運動負荷心電図: 運動中や運動後の回復期にPVCが増加する例、多源性や3連発以上を認める例は精査が必要である(虚血性心疾患などの器質的心疾患や、カテコラミン誘発多形性心室頻拍〈CPVT〉など)。CPVTでは、運動で心拍数が上がるとPVCが出現し、運動を続けると多形性VTや二方向性VTが出現する。

専門医へのコンサル基準

以下の場合は、精査・加療のため循環器専門医への紹介を推奨する。

  • 心エコーでLVEF低下や心拡大などの器質的異常を認める場合。
  • ホルター心電図でPVCバーデンが10%以上、またはNSVTを認める場合。
  • 自覚症状が強く、生活に支障が出ている場合。
  • 失神や眼前暗黒感を伴う場合。

診断基準・精査の詳細

診断において最も重要なのは「器質的心疾患の除外」である。特発性PVCでは、まずPVCバーデン、NSVTの有無、器質的心疾患の有無(心エコー、造影心臓MRI)を評価する。心機能が低下している場合、不整脈そのものが心機能低下の主因か(PVC誘発性心筋症か、もともとの心筋症にPVCが合併しているのか)の鑑別が重要であり、ガドリニウム造影心臓MRIが有用である。

リスク評価では、心筋梗塞後のリスクを念頭に置いたLown分類が便宜上ほかの症例にも応用されており、1時間に30個以上の単形性PVC、多形性、3連発以上、R on T型、連結期の短いものは高リスクとされる。

治療法・具体的な処方例

無症候かつ心機能正常な特発性PVCであれば、原則として治療は不要であり、まず経過観察とする。ただし定期的な心電図や心機能の追跡を行い、症状の出現や心機能低下があれば治療を検討する。治療介入は「症状の改善」または「心機能低下の防止・改善」を目的に行う。

1. 薬物療法

自覚症状の緩和を目的に使用される。自覚症状が軽微なら、抗不整脈薬は投与せず、生活習慣の改善などで経過をみることが多い。

  • β遮断薬またはCa拮抗薬(器質的心疾患のない症候性PVCのQOL改善目的に推奨クラスIIa): ただし効果は限定的とされる。
    • メインテート(ビソプロロール)5mg 1日1回(年齢・症状により適宜増減。PVCの適応は2.5mg錠・5mg錠のみで、0.625mg錠にはない)
    • ※Ca拮抗薬(ベラパミル〈ワソラン〉など)は、添付文書上PVCは効能に含まれない(保険適用外)。
  • I群抗不整脈薬(具体的な使用例): β遮断薬が無効な場合などに検討する。不整脈の抑制効果はあるが、催不整脈作用や副作用も考慮する。
    • メキシレチン(メキシチール): 300mg/日 3分服(食後)より開始し、効果不十分なら450mg/日まで増量。
    • フレカイニド(タンボコール): 100mg/日 2分服より開始し、効果不十分なら200mg/日まで増量。他の抗不整脈薬が使用できないか無効の場合に限る。うっ血性心不全には禁忌。
    • ピルシカイニド(サンリズム): 150mg/日 3分服(重症または効果不十分なら225mg/日まで)。他の抗不整脈薬が使用できないか無効の場合に限る。透析を必要とする腎不全患者では1日25mg、高齢者では1回25mgから開始するなど慎重に投与する。
    • ※重要:心筋梗塞後のPVCに対するIA群・IC群(フレカイニド、ピルシカイニドなど)の投与は推奨クラスIII(CAST試験で予後悪化)。器質的心疾患合併例や心機能低下例では、IC群薬は禁忌、IA群薬も原則使用しない。器質的心疾患・心機能低下例でI群薬を使う場合は、メキシレチンが選択肢となる。
  • PVC誘発性心筋症: 症状や左室機能の改善を目的としたβ遮断薬またはアミオダロンの投与が推奨クラスIIa。※アミオダロン内服(アンカロン)の添付文書上の効能は、生命に危険のある再発性のVF・VTと、心不全(低心機能)・肥大型心筋症に伴う心房細動であり、PVCは含まれない(保険適用外)。

2. カテーテルアブレーション

特発性PVCに対しては成功率が高く、合併症もまれである。以下の症例で考慮される。

  • 症状を有するPVCで、薬物療法が無効または副作用のため使用できない場合、あるいは患者が薬物療法を希望しない場合(特発性の右室・左室流出路起源で推奨クラスIIa、それ以外の起源でIIb)。流出路起源以外のPVCは、流出路起源に比べ成功率がやや劣る。
  • 心不全発症の原因と考えられる、薬物治療抵抗性で頻発性(1日総心拍数の10%以上)かつ単形性のPVC(PVC誘発性心筋症)。心不全診療ガイドライン2025では推奨クラスIとされている。
  • 症状がなく心機能低下を認めない特発性PVCでは、アブレーションを第一選択とするエビデンスは乏しく、まずは経過観察と定期的な評価が推奨される。PVCバーデンが高いなどPVC誘発性心筋症のリスクが懸念される場合は、患者背景、成功率、手技のリスクを検討したうえでアブレーションが考慮されうる。

resi Dr.の眼(Pitfalls・匙加減)

  • 「たかが期外収縮」の落とし穴: 心機能が正常な特発性PVCでLVEFが低下することはまれだが、PVCバーデンが高いほどPVC誘発性心筋症のリスクは高くなる(1日総心拍数の24%以上で高リスク、10%未満では心機能低下がみられなかったとの報告がある)。PVC誘発性心筋症になっても、アブレーションでPVCが抑制されれば多くは4〜6か月以内に心機能が回復する。頻発例は定期的に心機能を追い、可逆的な段階でアブレーションへ繋ぐ判断が重要である。
  • R on Tの確認: 連結期が非常に短いPVC(R on T型)は高リスクとされ、単発であっても慎重な評価を要する。
  • 誘因の除去: 自覚症状が軽微なら、まずは生活習慣の改善で経過をみることが多い。心不全などの器質的心疾患がある場合は、電解質異常や心筋虚血、精神的・肉体的ストレスなど、心室不整脈の誘因の検索と是正も行う。

予後・患者説明のポイント

  • 「心室期外収縮(PVC)は、基礎疾患のない場合には予後良好であり、積極的な治療の対象にならないことが多い」と伝え、不安を取り除く。
  • 「ただし、あまりに回数が多くなると、将来的に心臓のポンプ機能が疲れてしまう可能性があるため、定期的に心電図や心エコー等でチェックを続けましょう」と長期フォローの必要性を説明する。

参考文献

  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン 2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン(第3章 期外収縮、表13)
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン 2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
  • 2024年JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版 不整脈治療(4.2.2 特発性PVC/VT、CQ2)
  • 日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン(心室性不整脈)
  • 添付文書:メインテート錠、メキシチールカプセル、タンボコール錠、サンリズムカプセル、ワソラン錠、アンカロン錠

この記事の内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせフォームからお知らせください。

PR勤務先を探す先生へ

循環器内科の求人、東京都にいくつある?

全都道府県・他社も含めた一覧を見る
循環器内科エムスリーキャリア求人を見る業界最大手。
転職市場の基準を知るため
まず登録すべき王道サイト。
マイナビDOCTOR情報収集力に強みあり。
丁寧なサポートにも定評。
じっくり相談したいなら。
民間医局求人を見る転職後のサポートも充実。
独自の福利厚生サービスも。
長期的な視点で選ぶなら。
医師転職ドットコム求人を見る公開求人数は業界随一。
圧倒的な選択肢の中から
最適な担当者を探したい方に。
ジョブメドレーエージェント 医師旧リクルートドクターズキャリア。
2026年8月にメドレーへ承継。
北海道444165688737
青森県651315125
岩手県431210193
宮城県1543421238
秋田県1827111
山形県44715137
福島県11417172110
茨城県13062363221
栃木県55259213
群馬県9849333315
埼玉県596258878839
千葉県527135566031
東京都125252711116049
神奈川県709273577327
新潟県1082332199
富山県1771142
石川県39111872
福井県2610921
山梨県284892
長野県7430252412
岐阜県7128191113
静岡県188106352919
愛知県243231608727
三重県62291577
滋賀県34111054
京都府8352402110
大阪府4872581107941
兵庫県234127894529
奈良県51281593
和歌山県3514341
鳥取県224374
島根県207462
岡山県16034381711
広島県19447462618
山口県672520229
徳島県437564
香川県611519148
愛媛県753527279
高知県42916161
福岡県20697759130
佐賀県21617122
長崎県431536266
熊本県6534243211
大分県6425231911
宮崎県62129148
鹿児島県6831152710
沖縄県10029322314

科名はサイトにより異なる場合があります。最新情報は各サイトでご確認ください。

リンクには広告を含みます。2026年10月時点(医師転職ドットコムは2026年3月時点)の各社公開求人数(集計:レジドクター)。

↓ 他の診療科も見てみる ↓

DR.DATABASE

あなたに一番合う転職サイトはどれ?
診療科ー都道府県別に転職サイトの求人数を比較