感染症

インフルエンザ|症状・検査/診断・治療

インフルエンザの症状

鼻汁、咽頭痛、咳、痰も認めるが、通常の風邪よりも発熱、頭痛、関節痛(節々の痛み)などが強いことが多い。

潜伏期間は1~2日間で、発熱の1日前からウイルスの排出がある。

インフルエンザ迅速検査

鼻腔ぬぐい液や鼻かみ液を使用する(ぬぐい液の方がやや感度はいいが被曝リスクがある)。

検査の特異度は98%程度。

発症24時間以降の感度は90%以上だが、12~24時間だとウイルス量少なく感度が低下するため、早めの受診で検査し陰性だった場合は翌日の再検査を検討する。

検査が陰性でも臨床経過からインフルエンザと診断し抗インフルエンザ薬を処方することがあり、その場合は再検査目的の受診は不要。

インフルエンザ感染症の治療

①抗インフルエンザ薬

 発症から48時間以内に投与開始することで発熱期間を1~2日程度短縮すると言われる。

 例)オセルタミビル(タミフル®︎)75mg 2Cp2×朝夕食後 5日間

 例)ラニナミビル(イナビル®︎)20mg/キット 40mg( 2キット)を単回吸入

※タミフルの小児投与量(中外製薬HP:https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/tam/dsyr/od/doc/tam_ds_od.pdf

※イナビルの小児投与量(10歳以上は40mg単回吸入、10歳未満は20mg単回吸入)

<重症例>

例)ペラミビル(ラピアクタ®︎)300mg 15分以上かけて。単回投与。

 (改善乏しい場合は連日反復投与も可能)

※異常行動について:
抗インフルエンザ薬の内服の有無や種類にかかわらず異常行動が報告されており、少なくとも2日間は転落防止など事故防止対策を(特に就学以降の小児・未成年者の男性)。

②上気道症状への対症療法

上気道症状への一般的な処方薬は以下。

症状代表的薬剤(成人量)
鼻水ロラタジン(クラリチン®︎)10mg 1T1×夕食後 レボセチリジン(ザイザル®︎)5mg 1T1×就寝前 ※いずれも感冒には適応なし。アレルギー性鼻炎に適応。
去痰剤カルボシステイン(ムコダイン®︎)500mg3T3×毎食後
咽頭痛トラネキサム酸(トランサミン®︎)250mg6T3×毎食後
鎮咳剤デキストロメトルファン(メジコン®︎)15mg6T3×毎食後 チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン®︎)20mg6T3×毎食後
発熱・頭痛アセトアミノフェン200mg2T1×発熱・頭痛時

③抗インフルエンザ薬の予防投与

 インフルエンザを発症した患者と同居等の環境で、高齢者、慢性呼吸器疾患、心疾患、慢性腎臓病、糖尿病、などで重症化リスクがある人には抗インフルエンザ薬の予防投与を検討する。

 ただし、自費診療であり注意が必要。

 例)オセルタミビル(タミフル®︎)75mg1Cp1× 7~10日間

インフルエンザの予防接種

6ヶ月~3歳未満:0.25mLを2回、1~4週あけて(3、4週がよい)。

3歳以上~13歳未満:0.5mLを2回、1~4週あけて(3、4週がよい)。

13歳以上~:0.5mLを1回。

ワクチンの発症防止効果は約60%。効果は接種して2週間ほどで出て、4~5ヶ月ほど有効。

重症予防効果もありリスクのある人には積極的に接種が勧められる。

ステロイドや免疫抑制剤などを使用している場合も、不活化ワクチンなので接種は可能(効果は減弱する可能性あり)。

インフルエンザを発症した場合の休校(休園)期間

学校保健安全法では、「発症してから5日以上、かつ、解熱して2日以上(幼稚園児は3日以上)は出席停止」と定められている。

社会人についての休職は職場ごとの対応による。

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