ナトリウム(Na):血清について
ナトリウム(Na)は細胞外液の主要な陽イオンであり、クロール(Cl)と共に体液の浸透圧と量を規定します。血清Na濃度は体液の浸透圧を示し、その変動は細胞内外の水分移動に影響を与えます。低Na血症はNaの不足または水の過剰により発生し、過度の水分摂取による希釈性低Na血症では、血清Naが低下するものの体内のNa総量は正常か過剰です。高Na血症はNaの過剰摂取や水分不足、視床下部機能障害により起こります。尿中Na濃度の測定は、体液の状態を評価し、特に利尿剤使用や代謝性アルカローシスの影響を考慮した診断に役立ちます。これらの測定は、患者の電解質バランスおよび酸塩基平衡の異常を診断し、適切な治療方針を立てるために不可欠です。
ナトリウム(Na):血清の基準値
基準値:135~145mEq/L
ナトリウム(Na):血清の増加
【消化管】嘔吐, 下痢
【腎臓】尿崩症, 本態性高Na血症
【代謝・内分泌】Cushing症候群, 原発性アルドステロン症, 11β-ヒドロキシラーゼ欠損症, 高Ca血症
【神経】口渇中枢障害
【その他】水分摂取不足, 脱水症, 発汗(熱中症), 高張食塩水投与, 利尿剤
ナトリウム(Na):血清の減少
【腎臓】Na喪失性腎症, ネフローゼ症候群, 急性水中毒, 腎不全, 糖尿病性腎症, 尿細管性アシドーシス
【代謝・内分泌】SIADH, Addison病, 甲状腺機能低下症, 11β-ヒドロキシラーゼ欠損症(塩喪失型), ACTH単独欠損症, 慢性副腎皮質機能低下症, 21-ヒドロキシラーゼ欠損症(塩喪失型), 偽性低Na血症, 高Ca血症, 鉱質コルチコイド反応性低Na血症(MRHE)
【循環器】心不全, 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
【肝臓】肝硬変
【その他】 悪性疾患末期, 高張食塩水投与