泌尿器

前立腺肥大症(BPH)|症状・検査/診断・治療

前立腺肥大症の症状

症状:
頻尿、残尿感、排尿困難感、尿意切迫感など。

症状の程度、計画を把握するためIPSS-QOLスコアを定期的に使用する。

前立腺肥大症の診断/検査

①IPSSとQOLスコア

 IPSSスコアとQOLスコアを併用して症状の重症度を把握する。

IPSS-QOL score

 IPSS:0−7軽症、8~19中等症、20~35重症

 QOL:0~1軽症、2~4中等症、5~6重症

②検査

尿検査:
血尿の有無など。膀胱炎なども除外。

腹部エコー:
前立腺の大きさ、形態、排尿後残尿量、癌の有無を評価。
(エコーでの前立腺容量:20mL未満軽症、20~50mL中等症、50mL以上重症)

PSA:
前立腺癌の除外のため、測定しておく。
4ng/mL以上では前立腺癌を否定できないため、泌尿器科へ紹介する。

 また、5α還元酵素阻害薬(アボルブ®︎)や抗アンドロゲン薬の投与でPSA値が低下してみえるため投与前に測定すること。5α還元酵素阻害薬投与後6ヶ月でPSA値は半減するため、6ヶ月以上投与後は数値を2倍して評価する。

前立腺肥大症の治療

症状の重症度によって治療を検討する。

α1ブロッカーが第一選択。

改善が乏しい場合は5α還元酵素阻害薬やPDE5阻害薬などを検討するが、泌尿器科に紹介した方がよい。

定期的にIPSSーQOLスコアで症状をスコア化すること。

①α1ブロッカー

 前立腺による尿路圧排を軽減し症状を改善させる。前立腺の縮小効果はない。
 効果は数日ででる。中長期でもある程度有効。

 α1Aは前立腺部尿道括約筋、α1Dは膀胱知覚に作用するが、タムスロシンはα1A/Dに、シロドシンはα1Aに選択的に作用する。 

例)タムスロシン塩酸塩(ハルナールD®︎)0.2mg 1Cp1×朝食後

例)シロドシン(ユリーフ)4mg2T2×朝夕食後

α1ブロッカーの副作用
起立性低血圧、射精障害、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)など。
白内障手術の予定があるなどの時は注意が必要。

②5α還元酵素阻害薬

 前立腺縮小効果により症状緩和。
 効果発現には4~6ヶ月以上かかる。副作用は勃起不全など。
 前述の通り、PSAが低下してしまうため前立腺がん検診は注意を要する。

 例)デュタステリド(アボルブ®︎)0.5mg 1Cp1×朝食後

③PDE5阻害薬

 一酸化窒素(NO)を介して前立腺を弛緩させる。
 ニトロ製剤との併用は禁忌。

 例)タダラフィル(ザルティア®︎)5mg1T1×朝食後

④侵襲的治療

 経尿道的前立腺切除術(TURP)が有効。
 他に、レーザーやステント留置などの方法もある。

 尿閉に対してバルーンカテーテルを一時的に留置したり、上記治療が行えない場合は長期留置することもあるが尿路感染症の強いリスクになる。

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