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眼科

加齢黄斑変性症|症状・診断・治療

加齢黄斑変性症の概要

加齢黄斑変性(AMD)は、加齢に伴い網膜の中心部である黄斑が変性し、見ようとするところが見えにくくなる疾患。

欧米では成人の失明原因の第1位。

日本では高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、失明原因の第4位。

50歳以上の約1%にみられ、高齢になるほど多い。

加齢黄斑変性には、滲出型萎縮型の2つのタイプがある。

  • 滲出型AMD:脈絡膜から発生した新生血管が、出血や血液成分の漏出を引き起こし、黄斑を損傷する。
  • 萎縮型AMD:網膜色素上皮が徐々に萎縮し、網膜が障害される。

加齢黄斑変性症の疫学

高齢者人口の増加に伴い、患者数も増加傾向にある。 患者数のピークは男性で80~84歳、女性で75~89歳。

加齢に伴い両眼に発症する割合が高くなる. 日本人を含むアジア人では、欧米人に比べてポリープ状脈絡膜血管症(PCV)の割合が多い。

加齢黄斑変性症の身体所見・症状

網膜の中心部が悪くなるため、視野の中心が見えにくくなる。

  • 変視症:ものが歪んで見える。
  • 視力低下:見たいものがはっきり見えない。
  • 中心暗点:見ているものの中心が欠けて見える。
  • 色覚異常:症状が進行すると色が分からなくなる。
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加齢黄斑変性症の検査・診断

検査

  • 視力検査:視力低下の程度を確認。
  • アムスラー検査:変視の有無をチェック。
  • 眼底検査:網膜の状態を観察し、出血や新生血管の有無を確認。
  • 蛍光眼底造影検査:造影剤を用いて新生血管の状態を詳細に評価。
  • 光干渉断層計(OCT):網膜の断層画像を解析し、網膜の浮腫や剥離の状態を評価。
  • 光干渉断層血管撮影(OCTA):造影剤なしで網膜や脈絡膜の血管構造を評価。

診断

以下の所見が認められる場合、加齢黄斑変性症と診断。

  1. 50歳以上、男性に多い。
  2. 眼底黄斑部の加齢性変化に基づく萎縮/滲出による変性。
  3. 自覚症状は変視、中心暗点、視力低下。
  4. 滲出型では脈絡膜新生血管(CNV)の証明。
  5. 萎縮型では地図状萎縮の証明。

鑑別診断として、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜色素線条に伴う血管新生黄斑症、特発性または近視性脈絡膜新生血管、種々の黄斑ジストロフィーなどが挙げられる。

加齢黄斑変性症の合併症

  • 硝子体出血:大量の黄斑下血腫に続発。
  • 末期病変(黄斑部円板状瘢痕、大きい地図状萎縮)。
  • 萎縮型から滲出型への進行。
  • 併発症として白内障、緑内障。
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加齢黄斑変性症の治療法

萎縮型AMD

現在のところ有効な治療法はない。

滲出型AMD

新生血管の活動性や位置などにより、病状に応じた治療を行う。 治療の目的は、脈絡膜新生血管の拡大を抑制し、視力を維持または改善すること。

  1. 抗VEGF硝子体内注射
    • VEGF阻害薬を眼内に注射し、新生血管の成長を抑制する。
    • 現在認可されているVEGF阻害薬:ラニビズマブ(例:ルセンティス®)、アフリベルセプト(例:アイリーア®)、ブロルシズマブ(例:ベオビュ®)。
    • 投与レジメン:
      • 導入期:4週ごとに3~4回投与。
      • 維持期:
        • 固定投与:一定の間隔で投与。
        • PRN(pro re nata)法:経過観察を行い、再発すれば投与。
        • Treat and extend法:診察ごとに投与を行い、再発がなければ投与間隔を延長、あれば投与間隔を短縮。
    • 投与中止基準は確立されていない。
    • 処方例:
      • ラニビズマブ(例:ルセンティス®)0.5mg 1×硝子体内
      • アフリベルセプト(例:アイリーア®)2mg 1×硝子体内
  2. 光線力学的療法(PDT)
    • 光感受性物質(例:ベルテポルフィン®)を静脈注射し、その後、弱いレーザーを照射して新生血管を選択的に閉塞させる。
    • 抗VEGF薬治療抵抗例や、脳梗塞などの既往がある場合に検討。
    • PCVでは良好な成績が報告されている。
    • 処方例:
      • ベルテポルフィン(例:ビスダイン®)10mg 静脈注射後、レーザー照射
  3. 抗VEGF薬硝子体注射併用PDT
    • 抗VEGF薬治療抵抗例に対し、抗VEGF薬硝子体注射とPDTを併用する。
    • PCVに有効。
  4. レーザー凝固
    • 新生血管が黄斑の中心から離れた場所にある場合に、レーザー光線で病変を凝固・破壊する。
    • 病変が黄斑の中心に及んでいる場合には、視力低下を引き起こすため、ほとんど行われない。
  5. 硝子体手術
    • 新生血管から大量に出血した場合に、出血部位や出血量に応じて硝子体手術を行うことがある。

加齢黄斑変性症の予後

発症時に両眼罹患例では、視力低下の進行によりQOLが著しく低下する。

大量黄斑下血腫症例は、視機能回復が困難な場合が多い。

黄斑下線維化の著しい例や、抗VEGF薬反応不良例は、視力予後も不良である。 網状偽ドルーゼンをもつ例では、RAP発症と黄斑萎縮で視力予後不良。

良好な視力を長期に維持するためには、継続的な治療が必要。

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