褥瘡の経過
①急性期
発症後1〜3週。
紅斑・紫斑・水疱・びらんなどを伴う。
鑑別ポイント:褥瘡の紅斑は湿疹とは異なり、圧迫しても褪色しにくい(元々血流が乏しいところにできた紅斑なので)。
②慢性期
黒色期→黄色期→赤色期→白色期
褥瘡の治療(急性期)
急性期は創の状態が経時的に変化するため、観察しやすいフィルムで創面保護し、外用薬(+ガーゼ)を使用する。
外用薬については後述。
DESIGNーRで重症度を評価
大文字から小文字になるようにめざす(D→dなど)
D | E | S | I | G | N | P | |
Depth 深さ | Excudate 浸出液 | Size 大きさ* | Inflammation/Infection 炎症/感染 | Granulation tissue 肉芽組織 | Necrotic tissue 壊死組織 | Pocket ポケット | |
大文字 | 皮下組織に至る | 多量** | 100以上 | あり | 良性肉芽が50%未満 | あり | あり |
小文字 | 真皮まで | 中等量以下 | 100未満 | なし | 良性肉芽が50%以上 | なし | なし |
*創面の直径(cm)×長径に直行する最大計(cm)
**1日2回以上ドレッシング剤交換
外用剤の使い分け
目的 | 一般名 | 商品名 | 特徴 |
---|---|---|---|
創面保護 | ジメチルイソプロピルアズレン | アズノール軟膏 | 油脂性で保湿・保護。 |
白色ワセリン | 油脂性で保湿・保護。 | ||
酸化亜鉛 | 亜鉛華軟膏 サトウザルベ | 油脂性で保護。 厚く塗ると吸湿し乾燥効果。 | |
感染制御 | 精製白糖、ポピドンヨード | ユーパスタ ネグミンシュガー | 吸湿作用あり、浸出液多い創に。 |
カデキソマーヨウ素 | カデックス | 上記よりさらに浸出液吸う。含まれるポリマーが残ると感染リスクに。 | |
スルファジアジン銀 | ゲーベン | 乾燥した創に。 | |
肉芽形成促進 | アルプロスタジルアルファデクス | プロスタンディン軟膏 | 局所血流改善。出血に注意。 |
ブクラデシンナトリウム | アクトシン軟膏 | 局所血流改善。吸湿作用あり、浸出液多い創に。 | |
トラフェルミン | フィブラストスプレー | 一番肉芽形成効果が強い。高価。2週間以内に使用。使い方はhttp://fiblast.jp/howto.html |
ドレッシング剤
感染を伴う、炎症が強い、壊死組織が多いなどの創には使用しない。
外用薬とは併用しない(外用薬はガーゼやフィルム剤等と使用)。
浸出液の量で交換時期を判断(最長でも1週間)。
種類 | 商品名 | 特徴 | |
---|---|---|---|
創面保護 | ポリウレタンフィルム | オプサイト 3Mテガダーム パーミエイド | 皮膚の摩擦軽減。保護。 |
湿潤環境に | ハイドロコロイド | デュオアクティブ アブソキュアーウンド | 浸出液多くはない創に |
ハイドロゲル | ビューゲル グラニュゲル | 乾燥した創に | |
過剰な浸出液を吸収 | ポリウレタンフォーム | ハイドロサイト | クッション性あり |
アルギン酸塩 | ソーブサン カルトスタット | 止血作用あり | |
ハイドロファイバー | アクアセルAg アルジサイト銀 | Ag配合で感染抑制 |
壊死組織の外科的デブリードマン
感染を伴っている時などは積極的におこなう。
出血する層まで行うが、出血に注意。
壊死組織があるが明らかな感染がなくデブリードマンをしたい場合は、化学的に行う。
乾燥した壊死組織→ゲーベン
じゅくじゅくの壊死組織→カデックス軟膏やネグミンシュガー
陰圧閉鎖療法
浸出液を吸引し細菌数の減少、陰圧効果で血管新生・肉芽形成促進など。
保険適応はVACシステム、RENASYSシステムで原則2週間。