脳梗塞の分類
- 心原性脳塞栓:心房細動による心内血栓がとんで発症
- アテローム血栓性脳梗塞:頸動脈などのアテローム(粥状効果巣)から血栓がとんで発症
- ラクナ梗塞:脳内の微細な穿通枝が閉塞して発症
急性期の対応
全身状態、発症時間、麻痺などの神経所見を迅速に把握。
静脈ルートを確保し、MRI/CTで病巣を検索。
どの治療法で対応するか神経内科、脳神経外科にすぐ相談し早期に治療開始すること。
①静注血栓溶解療法(rt-PA静注療法)
発症から4.5時間以内に治療開始すること。
DWI/FLAIRミスマッチ(DWIでhighだがFLAIRでまだhighになっていない)場合は、発症4.5時間以内の可能性が高い。
例)アルテプラーゼ(グルトパ®︎,アクチバシン®︎)
0.6mg/kg(最大60mg)のうち、10%を急速投与(1~2分間)し、残りを1時間で静注
※rt-PAを投与する場合、収縮期185mmHgまあたは110mmHg以上の場合、降圧薬を静脈投与する。
②機械的血栓回収療法
大血管の閉塞で、発症6時間以内に行う。rt-PAへの反応を待たずに早期に行うことも増えている。
③抗血栓療法
a)心原性
梗塞巣が大きい場合、出血を合併することも多く、抗凝固療法の開始は慎重に検討。
開始する場合は48時間以内に開始を考慮。
例)ヘパリン10000~15000単位/日 (APTT 1.5~2倍を目標)
b)非心原性
いずれかを選択。
・48時間以内のラクナ梗塞を除く非心原性脳梗塞に。抗凝固薬。抗血小板薬も併用する。
例)アルガトロバン(ノバスタンHI®︎)
最初の2日間は1日60mgを24時間かけて、その後5日間は10mg 1日2回 1回3時間
・発症5日以内に開始。
例)オザグレルナトリウム(カタクロット®︎)80mg 1日2回 1回2時間
④そのほか
脳保護療法として、どの病型の脳梗塞でも発症24時間以内のに開始が推奨。期間は14日以内。
例)エダラボン(ラジカット®︎)30mg 1日2回 1回30分
抗脳浮腫療法として、頭蓋内圧亢進を伴う大きな脳梗塞の場合考慮。
例)濃グリセリン(グリセオール®︎)200mL 1日2~3回 1回30~60分
慢性期の対応
①抗凝固薬
心原性で投与。
リウマチ性心臓病、拡張型心筋症、機械弁の患者にはワルファリンを。
例)ワーファリン PTーINR2~3(70歳以上は1.6~2.6)を目標
非弁膜症性心房細動患者にはDOACかワルファリンを。
DOACは腎機能等で用量調整を。
例)エリキュース5mg 2T2×朝夕食後
②抗血小板薬
非心原性に。
例)アスピリン100mg1T1×朝食後
例)クロピドグレル(プラビックス®︎)50~75mg1T1×朝食後
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