精神科

不眠症・睡眠障害の症状・生活習慣・睡眠薬について

不眠症の症状・タイプ

不眠症は症状によって以下のタイプに分類される。

  • 入眠困難:入眠に30分から1時間以上かかる
  • 中途覚醒:朝までに何度も目が覚める
  • 早朝覚醒:予定よりも早く目が覚める

不眠症・睡眠障害の対応

不眠症の対応フローチャート

不眠症・睡眠障害への生活指導

定期的な運動なるべく定期的に運動しましょう。適度な有酸素運動をすれば寝付きやすくなり、睡眠が深くなるでしょう。
寝室環境音対策:絨毯をしく、ドアをきっちり閉める 光対策:遮光カーテンを用いるなど 温度調整:寝室を快適な温度に保つ
規則正しい 食生活規則正しい食生活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。満腹で寝るのも腸に負担がくるし、睡眠の質も落ちるため就寝時間に合わせて食事の時間や量を調整しましょう。
就寝前の水分就寝前に水分を摂りすぎると夜中にトイレに起きてしまいます。 脳梗塞や狭心症などのリスクがある人は主治医に相談してください。
就寝前の カフェイン就寝の最低でも4時間前からはカフェインは摂取しないようにしましょう。カフェインを飲むと、寝つきが悪くなり、眠っても睡眠が浅くなり途中で目が覚めたりします。 日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレート、栄養ドリンクなどにカフェインが含まれます。
就寝前のお酒眠るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的に寝つきが良くなりますが、眠りが浅くなり、途中で起きたりします。
就寝前の喫煙ニコチンには精神刺激作用があるため夜は喫煙を避けましょう。
寝床で考え事昼間の悩みを寝床に持って行かず、考え事は翌日にしましょう。心配した状態では、寝つきは悪くなり、眠りも浅くなります。
日本睡眠学会「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」2014より一部改変し引用

睡眠薬の選択

 ベンゾジアゼピン系は筋弛緩作用が強く(転倒リスク↑)、依存性も高いのでできるだけ使用しない。

 以下紹介の薬剤はいずれも非ベンゾジアゼピン系。

①入眠障害

 超短時間型・短時間型を選択。

  例)エスゾピクロン(ルネスタ®︎)1mg1T1×就寝前

  例)ゾルピデム(マイスリー®︎)5mg1T1×就寝前

  例)ラメルテオン(ロゼレム®︎)4~8mg1T1×就寝前

 ※ルネスタは抑うつ効果あり、依存性もゾルピデムよりも少ないが苦味がある。

 ※ゾルピデムの方がやや催眠作用が強い。

 ※ロゼレムは効果は弱いが副作用(依存性・筋弛緩・健忘)が少なく使いやすい。昼夜逆転傾向などでも概日リズムを整えるため有効。

②中途覚醒、早朝覚醒

 例)スボレキサント(ベルソムラ®︎)10mg1T1×就寝前

※ベルソムラは筋弛緩薬作用が弱く、睡眠時無呼吸症候群などでも使用しやすい。また、健忘・依存性も少なめだが、作用時間が長いので「持ち越し」に注意する。

③抑うつ傾向あり

 うつ状態として対応をする。

 催眠作用がある鎮静系抗うつ薬としては以下がある。

 例)トラゾドン(デジレル®︎レスリン®︎)25mg1T1×就寝前

  ※SARIである。適応はうつ病。

うつ病についての記事はこちら↓

睡眠薬の減量・中止方法

不眠症状がなくなり、日中の身体症状も改善したら減量を検討する。
一気に中止すると不眠や精神症状の出現がありえるため漸減すること。

具体的には、現在の量を4分の1ずつ、2~4週間ほどかけながら減量していく。

状態悪化見られた場合は元の量に戻してしばらく様子を見る。

また、(超)短時間型は中・長時間型よりも依存性が高いため、一旦中・長時間型に変更したり、短時間型を減らして中時間型を併用したり、依存性の低いロゼレムに変更したり、検討する。

他にも、日本睡眠学会「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」2014に睡眠薬についての細かなQ&Aが記載してあり、ぜひ一度御一読いただきたい。

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