扁桃炎
扁桃炎の原因として通常のウイルス性も多いが、問題となるのはA郡溶血性連鎖球菌による扁桃炎と、EBVによる伝染性単核球症がある。
A群溶連菌による扁桃炎
診断~modified Centor Criteria~
modified Centor Criteriaを用いてスコアを計算。
項目 | 点数 |
38℃以上の発熱 | 1 |
咳がない | 1 |
前頸部リンパ節腫脹と圧痛 | 1 |
扁桃腫大・浸出物 | 1 |
3~14歳 | 1 |
15~44歳 | 0 |
45歳~ | -1 |
方針
合計スコアに応じて対応する。
合計スコア | 溶連菌感染による扁桃炎の確率 | 方針 |
0 | 1~3% | 経過観察 |
1 | 4~10% | |
2 | 10~17% | 迅速抗原検査を行い、陽性なら抗菌薬開始。 |
3 | 27~35% | |
4~5 | 38~53% | 迅速抗原検査を行い、陽性なら抗菌薬開始。 抗原検査が陰性でも偽陰性を考え抗菌薬投与してもいい。 |
抗菌薬治療
アモキシシリンが第一選択。
例)アモキシシリン(サワシリン®︎)250mg 4Cp4×毎食後・就寝前 10日間
EBVにペニシリン系を投与すると皮疹が出るので、EBVを否定できない場合や、ペニシリンアレルギーがある場合はクリンダマイシンを用いる。
例)クリンダマイシン(ダラシン®︎)150mg 4T4×(6時間ごと)10日間
ペニシリンアレルギーが弱い場合はセファレキシンも検討してよい。
例)セファレキシン(ケフレックス®︎)250mg 4T4×(6時間ごと)10日間
EBウイルス
伝染性単核球症でも上記Criteriaが高くなること多く、鑑別を要する。
以下が鑑別に有用。
- A群溶連菌による扁桃の白苔は線状・点状・斑状が多く、EBVではべたっとした広い白苔が多いが、必ずしも一致しない。
- 溶連菌の扁桃炎では前頸部リンパ節が腫脹し、伝染性単核球症では後頸部リンパ節が腫大する。
- 伝染性単核球症では肝脾腫を認め、血液検査でリンパ球増加、異型リンパ球の出現、肝障害があればより確率が増す。診断はVCAーIgM、VCAーIgG、EBNAのパターンから判定。