急性と慢性
急性副鼻腔炎
4週間以内に治癒。
ウイルスや細菌の感染が原因。
慢性副鼻腔炎
3ヶ月異常持続。
アレルギー性や慢性感染、鼻中隔湾曲症や鼻茸など物理的なものまで様々な原因がある。
副鼻腔炎の症状・検査
①症状
・膿性鼻汁、後鼻漏、鼻閉、頭痛・顔面痛、頭重感など。
・急性では発熱しやすい。
※後鼻漏:のどをねばっとした鼻汁が流れる(粘性が高いととどまる)。
②身体所見
鼻粘膜の発赤腫脹
咽頭後壁に鼻汁(後鼻漏)
前額部(前額洞)・頬部(上顎洞)の圧痛・叩打痛
頭部を前屈して頭重感の増悪
③検査
単純Xpや単純CTで副鼻腔内に鼻汁の充満を確認。
※上顎癌などの鑑別も必要。
急性副鼻腔炎の重症度分類
なし | 軽度/少量 | 中等以上 | ||
---|---|---|---|---|
臨床症状 | 鼻漏 | 0 | 1 時々鼻をかむ | 2 頻繁に鼻をかむ |
顔面痛・前頭部痛 | 0 | 1 | 2 要鎮痛剤 |
|
鼻腔所見 | 鼻汁・後鼻漏 | 0 漿液性 | 2 粘膿性少量 | 4 中等量以上 |
→軽症:1~3点、中等症:4~6点、重症:7~8点
(急性副鼻腔炎診療ガイドライン2013年追補版より引用)
急性副鼻腔炎の治療
①軽症
ほとんどがウイルス性であり抗菌薬なしで経過観察。
例)カルボシステイン(ムコダイン®︎)500mg 3T3×毎食後
↓
5日後に改善なければ抗菌薬を投与開始。
例)アモキシシリン(サワシリン®︎)250mg 4Cp4×毎食後・就寝前
※セフェム系ではガイドライン上はCFPN(フロモックス®︎)、CDTM(メイアクト®︎)、CFTM(トミロン®︎)が推奨されている。
投与して5日後に改善があればさらに5日間(合計10日間)投与する。
↓
効果が乏しい場合は以下いずれかに変更し、
5日後に改善があればさらに5日間(合計10日間)投与する。
例)アモキシシリン(サワシリン®︎)250mg 6Cp3×毎食後
例)レボフロキサシン(クラビット®︎)500mg1T1×食後
②中等症
以下を投与して5日後に改善があればさらに5日間(合計10日間)投与する。
例)アモキシシリン(サワシリン®︎)250mg 6Cp3×毎食後
例)レボフロキサシン(クラビット®︎)500mg1T1×食後
③重症や改善が乏しい場合
耳鼻科での鼻処置等を併用する方がよいため耳鼻科へ紹介する。
慢性副鼻腔炎の治療
以下薬剤を組み合わせて治療する。
①粘膜正常化剤
カルボシステイン(ムコダイン®︎)500mg3T3×毎食後
②抗アレルギー剤
抗ヒスタミン薬として
例)ロラタジン(クラリチン®︎)10mg1T1×夕食後(運転可)
例)エバスチン(エバステル®︎)10mg1T1×夕食後(運転注意)
例)レボセチリジン(ザイザル®︎)5mg 1T1×就寝前(運転禁止)
抗ロイコトリエン拮抗薬として
例)モンテルカスト(シングレア®︎,キプレス®︎)10mg1T1×就寝前
③マクロライド少量長期療法
抗菌作用ではなく繊毛運動の改善を期待して2~3ヶ月を目安に投与する。
例)クラリスロマイシン(クラリシッド®︎)200mg1T1×朝食後
※数ヶ月の保存的治療でも改善がない場合は、好酸球性副鼻腔炎、鼻茸、上顎癌など他疾患の可能性もある。また、手術なども検討される為耳鼻咽喉科へ紹介すること。
※慢性なのに血性鼻汁がみられたり、痛みが強い場合なども癌の可能性あり要紹介。