
日々の業務に追われ、将来のキャリアをじっくり考える余裕がない…
今の職場で働き続けることに、漠然とした不安を感じている…


管理職になったが、責任の重さに押しつぶされそうだ…
はじめまして、「レジドクター」運営者のDr.ゆうです。
もし今、あなたがこんな悩みを一つでも抱えているなら、少しだけ私の話を聞いてください。
私はまだアラフォーですが、これまで、
- 中規模市中病院の研修医・勤務医
- 有床診療所①の勤務医
- 有床診療所②の副所長
- 中規模市中病院の消化器内科 科長
- スカウト(断ったが)
- フリーランス
という、大きなキャリアチェンジを何度も経験してきました。その道は決して平坦ではなく、迷い、たくさん悩んできました。でも、どの決断も後悔はしていません。その一つひとつの経験が、今の私と、私の働き方を作ってくれたからです。
この記事では、大手メディアには決して書けない、一個人のリアルな成功談と、今だから正直に話せる失敗談をすべてお話しします。
この記事を読み終える頃には、あなたの転職への漠然とした不安が「具体的な行動プラン」に変わり、自分らしいキャリアを歩むための「はじめの一歩」を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。
【フェーズ1】「このままでいいのか?」理想を追い求めた初めての転職

中規模市中病院で研修医としてキャリアをスタートさせた私は、臨床の仕事に非常にやりがいを感じていました。専門を消化器内科とし、各種手技も楽しく修練し充実した日々を送っていました。
しかし、私は「街のお医者さん」をめざして医師になったのですが、だんだん町医者になりたくなってきました。7年目、私はその想いを無視できなくなり初めての転職を決意します。
当時の私が抱えていたのは、経験者なら誰もが頷くであろう2つの恐怖でした。
- 専門医としてスキルが鈍るのではないかという恐怖
- お世話になった恩師や病院への申し訳なさ
今思えば、スキルは自分次第でどうにでもなるし、申し訳なさを理由に行動しないのは、他人のせいにすることと同じです。しかし、当時はその感情の渦の中で、一人でもがいていました。恩師に伝える前には、通勤電車の中で過呼吸になって朦朧とし、途中下車するということもありました。
私は転職先を探すにあたって、転職サイトを利用しました。私は一般家庭の出で、医療関係ではなくツテや情報がなかったのもありますが、知人の紹介ではなく、客観的で幅広い情報が欲しかったのです。転職サイトを使った経験をまとめておきます。
- 転職サイトの良かった点:
転職エージェントの価値を最も感じたのは、年収交渉です。私の希望は「当直などの勤務日数は減らしたい。でも、前の職場の給料は確保したい」という、自分では非常に言い出しにくいものでした。診療所側は少し難色を示したようですが、エージェントが私のスキルや経験をうまく伝えてくれたおかげで、最終的に希望通りの条件を勝ち取ることができました。給料が下がる不安どころか、むしろ上がったのです。
- 注意した方がいい点(ネガティブな体験):
一方で、失敗もありました。入職後、院長等の医師がスタッフへ高圧的に接する場面を目の当たりにし、「自分には合わない」と感じてしまったのです。見学は一度きり。その短時間で職場の本当の雰囲気を見抜けなかった私の甘さが原因でした。スタッフがどんどん辞めるわけでもないので、それがこの診療所の空気感なのかもしれません。でも、自分には合わなかった。トップとスタッフが会話する時の「空気感」まで観察すべきだったと、今では思います。
【フェーズ2】「なぜ…」管理職の挫折と、見えてきた自分の市場価値

自分の人生において勉強になると思い、この有床診療所で3年頑張ろうと思っていましたが、研修医時代にお世話になった診療所の医師体制が悪化し、副所長として声がかかり2度目の転身。
さらにその数年後には、古巣の病院の消化器内科を立て直すため、科長として戻ることになります。この時まだ30代半ばでした。
管理職として経験したのは、理想と現実のギャップでした。
有床診療所の副所長時代は経営改善のために資料をまとめて何度も会議に臨みましたが、結局ほとんんど何も変えられませんでした。今思えば、根回しも実力も、全てが不足していました。プレイヤーとマネージャーの役割の板挟みになり、重圧とストレスで心身ともに疲弊していき、診療所に向かう車の中で、毎日のように動悸がしていました。
副所長としての挫折を経験する中、今度は古巣である研修病院から「消化器内科の科長として戻り、科を立て直してほしい」という要請を受けます。一度は離れた場所ですが、育ててもらった恩義に報いたいという思いもあり、3度目の転身を決意しました。
しかし、消化器内科として完全に独り立ちしていたわけでもないことと、ブランクもあることから、科長としての忙しさもありますが、手技や治療のプレッシャーが非常に大きな状態でした。治療について相談したり、手代わりしたりできる上司がいないのでひたすら勉強してなんとか診療していました。中規模病院ということでそれなりに患者さんも多いですが治療内視鏡は自分がほぼ全部行う状態で、万が一の事態が起きたら…と常に張り詰めた糸の上を歩いているような感覚でした。今思えば、あまりに危険な綱渡りだったと思います。
そんな中、複数のスカウトから連絡が届くようになりました。おそらく、30代で市中病院の科長を務めている経歴が目に留まったのでしょう。残念ながら条件が合うところがありませんでしたが、「若年での中規模市中病院の科長経験は、自分が思っている以上に高く評価される」という驚きの事実でした。伸び盛りの医療法人が、即戦力となるマネジメント人材をいかに欲しているかを肌で感じています。
【フェーズ3】「もう限界だ…」すべてを手放して見えた、心と家族を守る働き方

科長としての毎日は充実していましたが、責任の重さは日に日に増していきました。中途覚醒・早朝覚醒が悪化していきます。
先ほど書いたように、スカウトも来始めていたので「もう少し粘れば、もっと良い条件の常勤先が見つかるかもしれない…」という思いもありましたが、「もう限界だ。一度リセットしたい」という心の叫びが日に日に積み重なり、私はフリーランスの道を選びました。
常勤という安定を手放す決断。もちろん不安でした。しかし、私が辛そうにしているのをずっと見ていた妻は、「楽になるなら、その方がいいよ。大丈夫、大丈夫」と、背中を押してくれました。彼女のこの一言がなければ、今の私はいません。
一旦心と体を健康に戻すための処置と、今後の働き方を考えるためのフリーランスへの転身のため、「週4+スポット」という働き方にしました。働き先を探すために、転職サイトは複数登録してフル活用しています。以下に、フリーランス生活について簡単にまとめておきます。
- 良かった点:
驚いたことに、収入は常勤時代と大きく変わりません。それでいて、ほぼ毎日定時に帰宅できるようになりました。時給換算すれば、明らかに今の方が高い。この夏は毎週3連休を維持し、子どもたちとたくさんの時間を過ごせました。これは、何物にも代えがたい財産です。
- 注意した方がいい点:
もちろん、良いことばかりではありません。仕事は健診などが多くなり、内容は単調になりがちです。病院内では、良くも悪くも「外部の人間」なので、組織に深く関わるやりがいは減ります。そして、確定申告や社会保険の手続きは、誰も教えてくれません。すべて自分でやる必要があります。
結論:4度のキャリアチェンジで分かった、後悔しないための「転職サイト活用3原則」

私の紆余曲折のキャリアを振り返ると、後悔しない転職には3つの共通した原則があることに気づきました。
- 原則1:受け身はNG。転職コンサルタントを「パートナー」として使い倒す。
こちらの熱意やビジョンが伝われば、彼らはプロとして全力で応えてくれます。受け身で求人を待つのではなく、自分の理想をぶつけ、交渉の武器として「使い倒す」くらいの気持ちが大切です。 - 原則2:登録は1社に絞らない。必ず「複数登録」で客観性を担保する。
1社だけの情報では、他のいい転職先を見逃す恐れがあります。また、複数のエージェントと話すことで、情報が客観的になり、自分に合う担当者を見極めることもできます。 - 原則3:良い情報も悪い情報も疑う。最後は「自分の足」で確かめる。
エージェントの情報は非常に有益ですが、最終的に決めるのは自分です。私の失敗談のように、雰囲気や人間関係は、データには表れません。必ず見学に行き、自分の目で確かめる一手間を惜しまないでください。

じゃあ、具体的にどの転職サイトがいいの?
そう思われるかもしれません。しかし、私はこの記事で「このサイトが絶対におすすめです!」と言うつもりはありません。なぜなら、最適なサイトは、あなたの専門診療科や希望する地域、そしてキャリアのフェーズによって全く異なるからです。
大切なのは、「あなた自身にとって」最も求人数が多く、質の高い情報を提供してくれるサイトを見つけ出すことです。
そのためのツールとして、当サイトでは主要な転職サイトの求人数を「診療科×都道府県」別に徹底比較したデータベースを用意しています。
例えば、下の表は「総合内科」の常勤求人数を比較したものです。
このように、都道府県によって有力な転職サイトは結構違います。今回は「総合内科」を掲載していますが、もちろん専門科によっても大きく異なります。
あなたのキャリアの可能性を最大化するために、ご自身の診療科の求人数をチェックしてみてください。客観的なデータが、あなたの強力な武器になります。
まとめ:キャリアの舵を、あなた自身の手に取り戻そう
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
私がこの長い体験談を通じて、一番お伝えしたかったメッセージは、たった一つです。

転職は「逃げ」ではありません。あなたらしい医師人生を送るための、極めて戦略的で、ポジティブな「選択」です。
誰かの意見に流されるのではなく、そして何よりあなた自身が後悔しないように、自分の頭で考え、自分で選択してほしい、と心から願っています。
この記事が、その選択のための一助となれば幸いです。