内視鏡的経皮胃瘻造設術(PEG)の抗菌薬術前予防投与について
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この記事は日本化学療法学会/日本外科感染症学会による「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」(2016年)をもとに作成しています。
内視鏡的経皮胃瘻造設術(PEG)の時、抗菌薬は投与していますか?
私の病院ではCEZを治療当日に1日2回投与していました。
最近、CTRXにアレルギー歴のある患者さんに造設することになり、ガイドラインを調べたので紹介します。
- PEGの時の抗菌薬投与は単回投与でOK(推奨グレードA-I)。
- 抗菌薬はCEZまたはSBT/ABPC。pull/push法では、口腔内嫌気性菌をねらってSBT/ABPCを選択。
- βラクタム系アレルギーあり:「CLDM or VCM」+「アミノグリコシド系 or キノロン系 or AZT」
ガイドラインの1回投与量は、CEZ 1g(80kg以上は2g、120kg以上は3g)、SBT/ABPC 1.5〜3.0g(80kg以上は3.0g)です。予防投与でも治療量を用います。なお、ここで挙げた薬剤(CEZ、SBT/ABPC、VCM、GM)は、いずれも添付文書の効能・効果に術前予防投与の記載はありません。
海外でも、Cochraneレビュー(13のRCT)で、予防的抗菌薬の全身投与によりPEG後の瘻孔周囲感染が減ることが示されています(12試験の統合でOR 0.36、95%CI 0.26〜0.50)。ESGEのガイドライン(2021年)も、βラクタム系抗菌薬(アレルギーがあれば適切な代替薬)の単回静注を推奨しています。
また、長期療養施設入所者などでは、術前に咽頭拭い液の細菌検査を行い、検出菌に抗菌活性のある抗菌薬を考慮する、とされています。
ということで、今回はVCM +アミノグリコシド系(GM)の単回投与でいってみました。もちろん、経過は良好です。
注意点としては、それぞれの薬剤の投与タイミングがあること。
VCMとフルオロキノロン系は執刀(切開)前2時間以内に投与開始。
他の薬剤は1時間前以内に開始。
VCMはレッドネック症候群に注意して、1時間以上かけて投与します。
VCMとGMの場合、ガイドラインに沿うと以下のようになります。
バンコマイシン + ゲンタマイシン
バンコマイシン 15mg/kg(実測体重、最大2g)+生食(0.5gあたり100mL以上で希釈):執刀前2時間以内に開始し、60分以上かけて点滴静注
ゲンタマイシン 5mg/kg(肥満では 理想体重+超過体重×0.4 で計算)+生食100mL:執刀前1時間以内に開始し、30分〜2時間かけて点滴静注
いずれも単回。用量はガイドラインの予防抗菌薬1回投与量。VCMの添付文書上の適応菌種はMRSA・MRCNS・PRSPで、術前予防投与は適応外。GMの添付文書用量は1日3mg/kgを3回に分割(増量時も1日5mg/kgを限度に3〜4回に分割)で、5mg/kgの単回投与は添付文書の用法と異なる。VCM・アミノグリコシド系薬の使用時は腎機能障害を考慮する。
なお、今回私が実際に投与したのは「2時間前からGM 40mg(1時間で点滴)、1時間前からVCM 0.5g(1時間で点滴)」でしたが、ガイドラインと照らし合わせると、VCM(1時間前に開始)は「2時間前以内」の範囲に入っていましたが、GMは1時間前以内に開始すべきところを2時間前から始めていました。用量も、体重あたりの推奨量(VCM 15mg/kg、GM 5mg/kg)より少なめでした。
参考文献
- 日本化学療法学会/日本外科感染症学会 術後感染予防抗菌薬適正使用に関するガイドライン作成委員会. 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン. 2016. https://www.chemotherapy.or.jp/uploads/files/guideline/jyutsugo_shiyou_jissen.pdf (2020年の追補版〈日本化学療法学会雑誌 Vol.68〉は脳神経外科・眼科領域のみ)
- Lipp A, Lusardi G. Systemic antimicrobial prophylaxis for percutaneous endoscopic gastrostomy. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(11):CD005571. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24234575/
- Gkolfakis P, et al. Endoscopic management of enteral tubes in adult patients – Part 2: Peri- and post-procedural management. European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline. Endoscopy. 2021;53:178-195. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33348410/
- 塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g 添付文書. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069571
- ゲンタシン注 添付文書. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051220
- セファメジンα 添付文書. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051899
- ユナシン-S 添付文書. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052370
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