総合診療

血液ガスの読み方(酸塩基平衡異常)|鑑別疾患

血液ガスの読み方

①acidemima or alkalemia?

 pH7.400が中性。それ以外はaciddemiaかalkalemia。

②代謝性 or 呼吸性?

HCO3<24代謝性アシドーシス

>24代謝性アルカローシス
pCO2<40呼吸性アルカローシス

>40呼吸性アシドーシス

「代謝性アシドーシス+代償性の呼吸性アルカローシス」など複数認めることがあるが、一旦保留し以下へすすむ。

③Anion Gap(AG)

AG=NaーClーHCO3

ただし、低Alb血症の時は補正AGを用いる。
補正AG=AG+2.5(4ーAlb)

(補正)AG>12 → AG開大性代謝性アシドーシス

④補正HCO3

※(補正)AG>12の場合に検討。

補正HCO3の値をみてAG開大性代謝性アシドーシスの他に酸塩基異常が合併していないか判定する。

補正HCO3=HCO3+Δ(補正)AG
( Δ(補正)AG = (補正)AG − 12 )

補正HCO3 ≧ 6 → 代謝性アルカローシスを合併

補正HCO3 ≦6 → AG非開大性代謝性アシドーシスを合併

⑤代償による反応は適切か

隠れた酸塩基平衡異常がないかをみる。

「代謝性アシドーシス+代償性の呼吸性アルカローシス」で代償されるpCO2よりも実際のpCO2が低い・高い場合には他の呼吸器系の異常を合併している可能性がある、など。

一次性変化代償性の変化量
代謝性アシドーシスΔpCO2↓=1.2×ΔHCO3 ± 5
代謝性アルカローシスΔpCO2↑=0.7×ΔHCO3 ± 5
急性呼吸性アシドーシス(~4日)ΔHCO3↑=0.1×ΔpCO2 ± 3
慢性呼吸性アシドーシス(5日~)ΔHCO3↑=0.2~0.4×ΔpCO2
急性呼吸性アルカローシス(~4日)ΔHCO3↓=0.1×ΔpCO2 ± 3
慢性呼吸性アルカローシス(5日~)ΔHCO3↓=0.2~0.5×ΔpCO2

⑥phとKの相関度

Kの値が、pH変化によるものかを判別する。

pHが0.1低下 ≒ K0.5mEq/L上昇

酸塩基平衡異常の原因


原因
AG開大性代謝性アシドーシス乳酸(低酸素、ショック、Vit.B1欠乏) ケトン(糖尿病、アルコール、飢餓) 末期腎不全 中毒(メタノール、エチレングリコールなど)
AG非開大性代謝性アシドーシス消化管からのHCO3排泄過剰(下痢) 腎からのHCO3排泄過剰(尿細管性アシドーシス、軽度腎不全、) 高K血症 低アルドステロン血症(アルドステロン拮抗薬)
代謝性アルカローシス嘔吐、胃管吸引 二次性高アルドステロン血症 低K血症
呼吸性アシドーシス換気異常
呼吸性アルカローシス過換気

動脈血と静脈血

静脈血でも動脈血ガスの代用ができる。

HCO3-が静脈血では増えるが、Clが減り、AGは変化なし。

アシドーシスが進むと差が縮む。


動脈血ー静脈血(95CI
pH0.036(0.030~0.042)
HCO3-1.5mEq/L(1.3~1.7)
pCO26.0mmHg(5.0~7.0)

-総合診療